2017年07月01日

アルチンボルド展 その6 源流

Son Taccuino dei disegni grassi Bergamo.jpg



  このアルチンボルドの変わった「寄せ絵」について、中東のミニュアチュール(本の挿絵としての細密画)に源流を求める説もあるということがアルチンボルド展のカタログのアンドレアス=バイアーの論説(137-141p)に紹介されてました。バイアー自身は、影響は東西両方からあるわけで、一方的にトルコなどの ミニュアチュールの影響だとはいえないという立場でした。 実際、現存するイスラム ムガールなどのそういうミニュアチュールは全て年代的にはアルチンボルド以降十七世紀以後のもので、勿論日本の浮世絵などもずっと後世の十九世紀のものですから、源流とはしにくいものがあります。光は東方から、という先入観や、変わったものは異国からの影響と考えてしまう傾向がこういう考えを生んでいるのではないか?と思います。勿論「ないことの証明」「悪魔の証明」はできませんが。。

  むしろ、もっと素直にイメージのようなゴシック末期十四世紀後半のミラノ、まさにアルチンボルドのご当地ミラノ大聖堂で働いていた建築家ジョヴァニーノ=デ=グラッシ(-1398)のスケッチブックのような絵・細密画が源流になっていると考えたほうが自然ではないかと思います。
 イタリア ベルガモ市立図書館所蔵

イメージ ソース  J.J.G. Alexander, The Decorated Letter,  Thames and Hudson,1978, plate36



posted by 山科玲児 at 07:52| Comment(0) | 2017年日記
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