2017年08月10日

ルーベンスの同じ絵が3枚

ソドムを去るロト  ルーベンス.JPGRingling_detail Left Tokyo right.jpg
 同じ絵を2枚以上描くというのは、現代の画家でもあるそうである。ある現代画家のエピソードだが、個展に展示した絵が気に入った蒐集家がいたが、偶然、已に他の客に売れてしまっていたので、画家に頼み込んで同じ絵をもう一枚描いてもらったそうだ。

 まして、古い時代には多かっただろう。そういえば、ワトーの「シテール島」もベルリンとパリに1点づつある。ラトゥールの「聖セヴァスチャンを悼む聖女たち」もベルリンとパリのそっくりさんのどちらが優れているか論争があったものだ。 そして、絵画制作工場といってもいい、アントワープのルーベンスのアトリエでは、例が多かった、また同じ絵だからといって、一方が著しく水準が落ちているわけではないようだ。

  1618年に英国人 サー=ダドリー=カールトンが顧客としてルーベンスのアトリエを訪れたとき、ルーベンスは、「それらの絵は、私が自分の手で大変うまく修正しましたから、オリジナルと区別することは難しいでしょう。 値段の割りには全くすばらしいものです。」と弟子の制作品を巨匠が修正した作品を サー=ダドリー=カールトンに薦めている。

  あの フランダースの犬で有名なアントワープのノートルダムにある「十字架降架」も、リール美術館にそっくりさんがあり、しかも非常に優れている。昔、池袋で鑑賞することができたが、本当に優れていた。これはルーベンス自身が2枚描いたとみたほうがいいものかもしれない。
 http://www.pba-lille.fr/Collections/Chefs-d-OEuvre/Peintures-XVI-sup-e-sup-XXI-sup-e-sup-siecles/La-Descente-de-Croix

さて、1993年に、ルーベンスの同じ絵を3枚並べて比較するという野心的な企画展を上野 西洋美術館でやったことがある。
実は、更にもう一枚が個人蔵であるということだが、出展はされていない。
ソドムを去るロトとその家族ーールーベンスと工房ーー 1993年7月13日〜8月19日 (イメージは図録パンフ)

これは、その15年ぐらい前、1978年に、西洋美術館が「ルーベンス」ということで買った絵の再検討という意味もあるのだろう。
ヤーコプ・ヨルダーンス(に帰属)[アントウェルペン, 1593年 - アントウェルペン, 1678年]
ソドムを去るロトとその家族(ルーベンスの構図に基づく)
http://collection.nmwa.go.jp/P.1978-0006.html

  西洋美術館の絵はサイズが小さいということもあって、確かに見劣りがした。現在はリングリングのものが最もよいということになっているようだ。西洋美術館のものはルーベンスの協力者であったヨールダンスの作品と変更された。
 しかし、カラー写真比較だけで区別できるだろうか??と真剣に疑ったものだ。例えば、イメージのように、腕の部分拡大を
みてみる。左がリングリング、右が東京上野、、この写真だけで優劣や区別がすぐできるだろうか?私にはできない。
また、リングリングの絵とバースの絵はサイズが同じということもあり、どちらが優れているのか実物をみてもなかなかわからなかった。

西洋美術館 の絵の大きなイメージは、こちらにもある。
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Jacob_jordaens_(da_rubens)_lot_e_le_figlie,_1618-20_ca._01.JPG

posted by 山科玲児 at 08:07| Comment(0) | 日記
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