2017年09月25日

西洋の肖像画 コメント増補

Navez Louvre.JPG



***解説・コメントを増補しました***

個人的に選んだ肖像画リスト
をあげてみます。
集英社の本と重複していないほうが面白いのですが、下記サイトで掲載リストがありましたので、チェックしたところ、8つぐらいしか重複してないようです。それにしても、集英社本に、フランクフルトのクルチザンヌは入れたほうがよかったのになあ、、他の巻のラインアップも既にサイトにでているようですが、あえて見ないで選ぶと面白いから静物画ぐらいはやってみるかなあ。。。

全部実見したものにしたかったのですが、やはり捨てがたいものもあるので
実見していない作品もいれました。それは★をつけておきます。


・ファイユーム出土蜜蝋板絵 髭の男  メトロポリタン

・ロベール=カンパン 某夫妻の肖像  ロンドン  ナショナルギャラリー
  この2人、特に女性のほうはとても彫塑的である。またこの絵の前で彼らはなにを考えているのだろう、とか生涯はどうだったのだろうかとか、思いをはせさせる説得力がある。
  ロベール=マスミンの肖像のほうが衝撃的かもしれないが、ベルリンとマドリードに2枚ありベルリンのほうはみていないので。

ヤン ファンアイク アルノルフィーニ夫妻像   ロンドン  ナショナルギャラリー
 従来考えられていた人とは別人のアルノルフィニ一族の一人らしい。この人もやはりブリュージュに住んでいた。いずれにしても記念碑的な作品。

ヤン ファンアイク 、マルガリータ  ファンアイクの肖像、グロニング美術館、ブルッヘ、ベルギー

手が少しおかしいが、よい作品。ヤンの聖母のモデルはこの人が若い頃の顔じゃないかなあ?


尼僧の装束のブリジット=バルドーとか言った高名な学者がいたような、、パノフスキーだったかな??

ロヒールの妻じゃないか?という推測がある。悪戯っぽい表情が捨てがたい。


 フランス人が大好きな絵だそうだ。

Memling SintJans Triptique (4).jpg

メムリンクの男性肖像画は多いのだが、あまり性格や感情を表出した絵は少ない。みな「感じがよい」顔になっているので当時はうけただろうが、語りかけてくるものがない。その中でこの4人の肖像画はすばらしい。
・ハンス=メムリンク  女性肖像(モレル家?) メームリンク美術館、ブルッヘ、ベルギー

   女性肖像画としては、こちらかな。メトロポリタンのポルティナリ夫妻像はあまりに生々しくまた未見でもあるので外した。 


子供の肖像としては初期の佳作だと思う。この人の他の絵よりできがよいようにみえる。

この豪奢な衣、傲頑な顔、たるんだ頬など容赦のない描写はファンアイクなみではなかろうか。

なんとなく東洋人にみえる。。

ミュンヘン アルテピナコテークのキリストになぞらえたような不遜な自画像をとるべきかもしれないが、実見してることもあり、プラドのもっと軽い感じのものにした。


たぶんヴェニスのお嬢さんだろうが、生き生きした肖像画だと思う。デューラーのドイツ女性の肖像は、聖母マリアを含めてどうも美人にみえないものが多い。リアル過ぎるのかな。

花耀亭様が、推薦され、東京で実見したのだが、確かにすばらしい肖像画。過不足がなく、なんというか「聡明」の擬人像のような感じすらする。

思ったより小さいものだが、、
女性の奇妙なイタリア顔と、
男性の鼻が特に印象深い。


この種の豪華な衣装の横顔の女性肖像は何点も佳作があるが、これは特に表情がよく、若々しく素直で好ましい作品。

なんか、強いイスラム風を感じますね。。これ、受胎告知の聖母だそうだけど、どうみても肖像画なので、いれました。集英社本もこれいれてます。数少ない重複例ですね。
レオナルドの肖像画はモナリザも含めていくらか実見したが、これが一番好印象でした。


フィレンチェにあるラファエロはピッティ、その中でも肖像ならコレ

 弟子ジュリオ  ロマーノの作品とされてますが捨てがたい魅力があります。 モデルは、実はナポリ総督の妻イザベルであるという説が現在は有力なようです。


 作家ユイスマンスが絶賛した作品


このヒタと鑑賞者を見つめる眼が忘れがたい。モデルは高級娼婦の服装をしています。


この傲然とした肖像がいかにもいかにも貴族。こわそうなおばさんだな。


アルチンボルドの精粋のような技巧的な自画像です。紙のすきめまで描いてあります。
ルーベンスの肖像画はいやというほど多数観ましたが、自分の子供を描いたこの作品は油彩習作というようなものでしょうが、企まない自然さがよいし、東京にあるので親しんでます。

なにもいうことはありません。東京、大阪、ハーグで観ました。


レンブラントの良さがわからない私なので、まず銅版画を。
  華やかで妻への愛情が感じられる良い作品だと思います。

・ディエゴ=ヴェラスケス フェリペ四世(十七歳) 1628  プラド美術館

 プラドのヴェラスケスの作品で、特に眼を惹いたので。王の性格がなんとなくわかるような名画です。


 ラルジエールの作品にはなんとなく妖気があるものが多い。これは大人しいけれどやはりあります。


  もう、完全にヴェルサイユ


ナティエの追随者、スウェーデン生まれの二流画家による作品だが、魅力があるのはモデルの強い個性のためかなあ。

 1970年ころに日本に売りに来たことがあった絵です。

カペの絵とは違って清楚な感じの自画像です。

もうピチピチというか、自信に溢れた肉体的な自画像ですね。


印象派以上に、線を無視した夢のような肖像画です。

これは、画像では良さがわかりません。ペインタリーな絵画としての肌合い/質の良さですね。
ゴヤについては、ロンドンにある次の絵のほうが有名だし、私も実見して良かったとおもっていれるつもりでしたが、真贋問題があるようです。この絵は、男性肖像を塗りつぶして描いてあるらしい。宮廷画家であったゴヤが貴族の肖像画を描くのにそういうことをするだろうか??
 フランシスコ=ゴヤ  ドンナ イザベルド  ポルセル ロンドン  ナショナルギャラリー
https://www.nationalgallery.org.uk/paintings/francisco-de-goya-dona-isabel-de-porcel


これは肖像画とはいえないかもしれないが、あまりにもマラーそのもの、何点かレプリカがあるらしい。


掘り出し物でした。ルーブルの画像が意外にシャープじゃないので、当方が撮影した写真からイメージをつくりました。


ちょっと不思議な感じを受ける肖像画、なんか大理石像のような感じ。。
  集英社本の編集者も注目したらしく、採用してましたね。おっ眼があるね、と感じたところです。
この苦味走った 老人の自画像というのも悪くない。

まあ、なんというか楽しそうですね。米国人はこういうの好きなんだろうなあ。こういう和服コスプレを「人種差別」とかいってやめさせた韓国人中国人活動家って頭おかしい。


・ バーン ジョーンズ  フィッツジェラルド令穣の肖像 個人蔵??

  珍しいバーンジョーンズの肖像画というだけでなく、かなり異色な作品です。このフィッツジェラルドお嬢様ってどういう人なんだろうね。個人蔵というのは一族に伝わっているのかな?と思いました。


華やかで印象的な作品なので、未見ながら入れてみました。

 強烈な肖像画です。オカルトの指導者の一人だったらしいですね。この夫人は。この絵について実は1940年ごろの画家自身によるレプリカであるという説もあるそうです。

 西洋美術館の20世紀絵画コーナーでは一番好きですね。
このルノワールはあの映画監督です。

故 澁澤龍彦氏が推薦していた変わった「パリのアメリカ人」女流画家です。

最後に
*****  レオナール フジタ  のフジタ礼拝堂フレスコ画の寄進者画:フジタ&ルネ=ラルー&フジタ=キミコ像 (下イメージ)★
なんかこれで、十五世紀の初期フランドルに帰った気がします。ふりだしに戻る。。。

fujita chapelle fresco detail.jpg
posted by 山科玲児 at 18:04| Comment(0) | 2017年日記
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