レオナルド ダヴィンチ 作品とされた? 「救世主(Salvator Mundi)」像 が
11月にニューヨークのクリティーズでオークションされるようである。
11月にニューヨークのクリティーズでオークションされるようである。
もう、扇情的で軽率な記事で、時事通信にもいやになる。意外に朝日新聞学芸部はまともなので朝日の記事がまたれる。
こういうふれこみの作品はここ10年でも結構あったように思う。
例えば、2009年にも
https://plaza.rakuten.co.jp/yamashinaReiji/diary/200910160000/
あえて、取り上げることもないかもしれないが騒ぐ人もいるかもしれないので、一応コメントしておく。
まず、基本資料(英文サイト)
クリスティーズ自身のサイト
http://www.christies.com/features/The-last-da-Vinci-Salvator-Mundi-8598-3.aspx?sc_lang=en
http://www.christies.com/features/The-last-da-Vinci-Salvator-Mundi-8598-3.aspx?sc_lang=en
金額について煽っているみたいだが、これらの記事を読むと、もともと2011年ごろ、サザビーズのプライベートセールで90億円ぐらい、買った画商がロシアのオルガルヒ(ソ連解体に乗じた新興財閥)Dmitry Rybolovlev に売ったとき、既に1億2千750万米ドル=100億円(当時のレート)ぐらいだったらしいので、どうということもない。むしろ下がっているので、なにかケチがついたのだろうか。
1958年のサザビーズ オークションでは60米ドルだったものである。
同じような絵が二十点以上もあり、その中でもっとも良い作だということである。
ただ、ベルナルディーノ=リュイーニの作品だって素晴らしいものもあるのだから、質が良いというだけでレオナルド=ダヴィンチ作だとしてしまうのもいかがなものか。
>一時は英王室の収蔵品だったが、1763年の競売後は1900年まで行方が分からなかった。
と書いてあるが、絵本体に証拠があるわけではない。証拠があれば60ドルのはずないからね。
ただ、文献的にそれらしい絵がチャールズ1世のもとにあり、バッキンガム公爵コレクションの売り立てのときに記述があるというだけである。
技術的に疑問なのはこれはクルミ材に描かれた絵であることだ。イタリアの板絵はだいたいポプラ材である。勿論、クルミ材のイタリア絵画の例も少数ながらあるから、排除はできないけれど疑いポイントである。
基底材のAMSによるC14検査ぐらいはやったほうがいいんじゃないかな。
【補足】 プラド美術館にあるモナリザの模写はレオナルドの工房の中でおそらくレオナルドも下絵などに関与して制作されたものだが、これはクルミ材である。クルミ材という点で疑うのは軽率だった。