2017年11月16日

壁はバロック調が良い


  
図説 だまし絵  もうひとつの美術史
谷川 渥 著  フクロウの本シリーズ
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309762388/


を読んだのをきっかけに、 「だまし絵の帝王」と著者が呼んだ
ヘイブレヒツの作品がどっさりあるコペンハーゲンの美術館を検索してみた。
デンマークの王様が ルドルフ2世の驚異の部屋ヴンダーカンマーばりのコレクション室をつくり、「遠近法の部屋」という挑発的な名前にして、そこの飾りとしてヘイブレヒツの作品を多数設置したようである。

現在、コペンハーゲンに、ヘイブレヒツ作品が展示されているのだが、その動画をみることができる。

The Perspective Chamber - YouTube

BGMは、当時ではなく数代前のデンマーク王にも仕えたジョンダウランドのリュート曲
  ただし、同じダウランドの曲でも、デンマーク王のガイヤルドのほうが良かったかもしれない
    John Dowland - King of Denmark's galliard




 この動画でみると、絵が飾られている壁が青一色で、複雑なヘイブレヒツの絵がなんか浮いてるなあ、という感じだ。まあ、北欧デザインみてもこういうモノトーンが多いし、最近流行のホワイトキューブなんていうギャラリー空間では真っ白だから、それよりましかもしれないが、ちょっとあわないのかなあ、、と思ったものである。むしろゴテゴテした金箔の装飾や重々しいカーテンやら大理石の装飾版やら他の絵画やタペストリーなどが壁を埋めているような空間のほうが、こういうだまし絵にすっとひきこまれるのではなかろうか。
そういう意味ではピッティやルーブルのような展示環境のほうがヘイブレヒツ向きのように思う。
コペンハーゲンの当局者には、ご検討いただきたいし、他の美術館も安易にホワイトキューブなどという邪道にのらないように切に願いたいものだ。

  ホワイトキューブは20世紀以降のモダンアートには最適だが、それ以前の絵画にはしばしば破壊的としかいいようがない。
posted by 山科玲児 at 06:18| Comment(0) | 2017年日記
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