2017年12月27日

カナレットと風景画の意味

ARTGALLERY アートギャラリー テーマで見る世界の名画 3巻 風景画
の解説を読んで、どうも承服し難いものだったので、
  カナレットのモノグラフ 
   カナレット 新装版 <アート・ライブラリー>シリーズ
    クリストファー・ベイカー 著 越川倫明/新田建史 訳
      発行年:2011年11月
   ISBN:978-4-89013-665-0
  http://www.nishimurashoten.co.jp/book/archives/3128
を読んでみた。その中には、優れた見解があった。

 「カナレットが創造した景観は、本当は実景として見ることのできないものであるにもかかわらず、その絵画的説得力によって、疑いもなく現実の再現だと思わせる力をもっている。」

 これは我々人間が「風景」をどのように感覚・感得しているかという視覚心理学的な問題・認知科学的問題にも関係してくるのだが、全くそのとおりだと思う。
実際、イメージの
「サン・ロッコ聖堂とサン・ロッコ同信会館を訪れるヴェネツィア ドーチェ (Corteo dogale alla chiesa di San Rocco)1735年頃
147×199cm | 油彩・画布 | ロンドン・ナショナル・ギャラリー」
は、当時カメラがあったとしても、こういう写真を撮ることはできない。
右イメージの航空写真をみるように、この行列があった広場?カンポは狭すぎて、全体を撮ろうと下がると後ろの建物の壁にぶつかってしまう。この絵は素描や記憶をもとにアトリエの中で再構成されたものであり、現場では絶対にみることはできないものである。カナレットの作品は素描も含め多かれ少なかれ、こういう再構成の産物であり、それによってこそ「絵画的説得力」をもっているのである。
 日本でよくいう「絵のようにきれいな景色」というのには、深い意味があるのではなかろうか? つまりそういう景色は希にしかなく、絵は現実の再現ではなく、画家によって再構成された美であるということである。

posted by 山科玲児 at 06:55| Comment(0) | 2017年日記
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