2018年04月11日

池大雅展


  池大雅夫妻.JPG



京都国立博物館で85年ぶりの池大雅展だそうだ。

  池大雅夫妻の肖像版画をイメージにあげておく。(洗硯 から、原本は近世奇人傳の挿し絵)
  
 池大雅展て確かに珍しい。しかも池大雅というと日本の画家のなかでもビッグネームである。名前だけなら、鈴木其ーよりも有名だし、30年前なら伊藤若冲よりずっと有名だったはずである。若冲展があれほど開催されるのに琳派の展覧があれだけあるのに池大雅展はなかった。
  なぜ、あまり開催されなかったのか不思議である。なぜなんだろう??
 代表作はだいたい美術館や法人のものになっているだろうから、所在は公開されているので借り集めるのが困難ということもないだろう。お寺の屏風絵、ふすま絵も多い。
  いろいろ考えるに、新機軸を出す目的としては、池大雅展は、やりにくいということがあるかもしれない。研究され尽くし膨大な過去の文献があるので、特別展やっても新しい発見とか論文とか書きにくいのではないか??
これでは、学芸員のやる気がわかない。

 池大雅の作品は、贋作が非常に多いものであり、むかしの庄屋さん宅なら必ず池大雅を1枚もっているというぐらいに、安易な贋作が多く、日本中に普及している。そうすると、自分とこの「池大雅」を持参して面倒を起こす人がでてくるのが煩わしいのかもしれない。
 しかし、現在85年後に、また開催するのは、あるいは、池大雅の権威のような人が逝去したり引退してしまったので、そういう大家の評価をひっくりかえしたり、低く評価したりするのが容易になったということがあるのかもしれない

 池大雅で、私が昔から気になっていたのは、変わった穏やかな丸い書である。この書風がどこからきたのか? 源泉を想像するのが結構難しい。意外に俗っぽい手本をもとにして、あの優しい書風がでてきたのかもしれない。最近思っているのが光悦などの和様の書や小野道風などの書の系統のほうに近いのかもしれない。篆書隷書などの四体手本なども書いているので唐様かとおもわれているようだが、むしろ和様じゃないかと思っている。
 15年ぐらい前、今 九州国立博物館の学芸員をしている丸山氏が、池大雅の手本册を発見したことがあるようだ。

 また、自分で篆刻もやったようで、下イメージのようなものも残っている(これも 洗研から)。これは1940年当時は、ワカモトの長尾欽彌氏所蔵で、寿山石に彫ったものだそうだ。難しい漢字だが、、非難ゴウゴウというのの、ゴウゴウである。
Source:: 洗研 第一期 第4輯 1940 April 15 


池大雅自刻印.JPG
posted by 山科玲児 at 07:24| Comment(0) | 2018年日記
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