2018年04月19日

阮元はバカではなかった


中国古代青銅器銘文の鋳造方法については、現在でもよくわからないが、
文字の線がへこんでいるんだから、文字の鋳型は凸になっているはずである。

清朝後半の学会のボス阮元の仮説が、
藤原楚水  図説書道史(二)  書えん  一巻2号、昭和12年4月、三省堂
にのっている。楚水先生の記述は古くさい意見も多いが、漢文文献の引用紹介には定評があるので、捏造や誤解はあまりないだろう。当方は阮元の文集を直接読んだわけではないが、そういう楚水先生だから、信用していいと思う。

@木の板に文字を彫ってそれを粘土に押し当てて鋳型をつくる。
A細かい粘土陶土を溶かして筆で重ね書きしてもりあげる。
B粘土の鋳型を彫って文字の鋳型をつくる(楚水さんの引用では陰刻するようにうけとられるが、これは陰陽逆じゃないかと思う。)。
C刀で直に青銅器の面に彫る

従来はAだけが、阮元の仮説だと思われていて、こればかりいわれて机上の空論だと嘲笑されていたのだが、実はそうではなく、色々考えていたようだ。

 金文の専門家の某大先生もそういうようなことを書いたり話したりしているから、研究史というのは、難しいものだと思う。


posted by 山科玲児 at 10:04| Comment(0) | 2018年日記
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