2018年05月02日

東博のエトルリア


エトルリア交換品 (1).jpgエトルリア交換品 (2).jpgエトルリア交換品 (4).jpgエトルリア交換品 (3).jpg
  あまり知られていないことだが、東京国立博物館にも古代エトルリアの遺物(陶器)がある。
2006年に小特集展示があった。

エトルリア陶器−イタリア国立東洋美術館交換品−
http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=349

 情けないことに東京国立博物館のサイトにも、これと展示リスト以外の資料も写真もないので、
、そのとき、偶然に撮った写真があるので、この際、全部公開する(イメージ)。
 確かに地味で小さなものばかりだが、下記の交換経緯から相当に信用のおけるもののように思う。

  >今回展示する陶器は、昭和39年(1964)にイタリア国立東洋美術館から寄贈されたものです。
となっているが、この交換事業自体聞いたこともないし、東京からイタリアに送ったものが何なのか気になるところではある。
  東京国立博物館刊行の雑誌ミュージアム1973年1月号が「特集:東京国立博物館陳列品収集の歩み」なので、繙いてみるが、何も書いてない。巻末の年表にすらない。。。なんという無視忘却冷遇か!!
  しょうがないので、同時代というか昭和39年ごろの直接の記録を博物館ニュースという月刊新聞のようなものの縮刷版で探してみた。ようやくみつかったのが、
昭和40年8月1日号 219号 の、第2P
昭和39年度の新収集品を展覧紹介するところの解説である。
>交換品はイタリア国立東洋美術館からおくられた古代イタリア文化遺品で、。。本館からは、縄文・弥生・古墳文化遺品56点を贈った。
>ローマの国立東洋美術館寄贈61点の。。
他に、2点の作品解説があったが、寄贈の経緯はこれだけ、、

ローマの国立東洋美術館てのは、これで中近東が中心のようである。
http://www.museorientale.beniculturali.it/index.php?en/1/home
地球の歩き方のサイトによると、2014年6月では日本室は整備中だったそうだ。イタリアじゃ、なかなか完成しないだろうな。まだ整備中でも驚かない。

 ここで、なんでこのエトルリア・コレクションのことを出したかというと、エトルリアについては二十世紀初めごろ1920年代ごろから盛んに贋作が生産されたようで、1970年代でも「イタリアの重要な産業」と揶揄されるほど盛行していたからである。
それについての先駆的雑誌記事が、これ。。
小川熙「エトルスクの贋作工房(真贋?121?)」、『芸術新潮』、第25巻1号、新潮社、1974年1月号、
小川熙「エトルスクの贋作工房(抜粋)」   1991年11月号 通巻503号

そういう状況なので、一応、信頼がおけそうな機関との交換品という点で、地味であるとはいえ、それなりに価値があるものではないか、と擁護しておくものである。


posted by 山科玲児 at 09:32| Comment(0) | 2018年日記
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