で
>日本で普通使われているのは唐詩選巻6からとったこのテキストである
と書いておいたが、実は違った。
>日本で普通使われているのは唐詩選巻6からとったこのテキストである
と書いておいたが、実は違った。
日本で唐詩選を校訂して出版した服部南郭が古書と比べて字句を復元訂正していたのだ。
実は、萬暦刊の唐詩選は唐詩三百首と同じテキストになっていた。
この変なテキストの改変は、唐詩選の編集者とされる明時代の李攀龍によるものであった。江戸時代の学者が、これはひどいだろうということで、良識的に変更したものだったのだ。
江戸時代の唐詩選 刊本(早稲田大学図書館 データベース)
実は、康煕年間編集の大部な唐詩全集「全唐詩」のテキストも日本で通行しているものと同じである。
したがって、
☆唐詩選(萬暦原刊本)テキスト=唐詩三百首テキスト=中華人民共和国の教科書のテキスト
☆南宋蜀本テキスト(イメージは蜀本の覆刻本)=全唐詩テキスト=唐詩選(江戸時代刊本)テキスト= 日本の漢文の教科書のテキスト
である。
を読んで、この事情がわかった。唐詩三百首テキストがあまりに流布してしまったために、李白の詩とは違うといっても通じず、曲学阿世せざるをえない中華人民共和国の学者もいるようである。
明清時代の人が、李白の詩のテキストを勝手にかえてしまう悪い癖については、、
南京大学の唐時代文学の泰斗 周先生も書いているようだ。
周初:李白詩原貌之考索
やはり、日本での古代からの写本や敦煌写本が唐時代のテキストを復元するのに有用のようである。
周先生は、ちょっと面識がある方なので。まだご健勝らしいことは喜ばしい。
周先生は、ちょっと面識がある方なので。まだご健勝らしいことは喜ばしい。