コナン・ドイルが、ホームズ・シリーズをやめるために使った モリアーティ教授という敵役は、もともとキャラクターの造り込みが少なくて、自由な解釈がなりたつものだから、ホームズのパスティッシュや派生作では、かなり自由に描かれることが多いようだ。
北原尚彦氏の作品「犯罪王の誕生」(ホームズ連盟の冒険に収録)では、ずいぶん普通に忠実再現されていた。そのぶん面白みがなく意外性もない。
北原尚彦氏の作品「犯罪王の誕生」(ホームズ連盟の冒険に収録)では、ずいぶん普通に忠実再現されていた。そのぶん面白みがなく意外性もない。
ニコラス・メイヤー作品「シャーロックホームズの素敵な冒険」では「ホームズのコカイン中毒の妄想の中で創られた幻」でそれを投影された中年の気弱な数学教師モリアーティが被害にあう、、という仕立てになっていた。アニメやマンガでもでてくるが、いろいろなヴァリアントがあり、最近のマンガ「憂国のモリアーティ」では革命家三兄弟でMI6がらみという設定になっている。ここで北原尚彦氏の作品で兄のモリアーティ大佐の役割が結構大きかったことを思い出した。
北原尚彦氏が編集翻訳した短編集「シャーロックホームズの栄冠」では、「サイコ」「ミステリーゾーン」の作者ロバート・ブロックによる「小惑星の力学」が面白かった。
ジューン・トムスン作のシャーロック・ホームズものは、だいたい面白いのだが、顧みればモリアーティ教授は、あまり派手にでてきませんね。ちょっと不思議。勿論架空評伝「ホームズとワトソン」には一応でてくるけど、通り一遍で新解釈はないようです。
シャーロック・ホームズそのものは、それほどの自由はなく、某パロディにある「ホームズは実は女性だった」というのが最大のブレかたかもしれない。