2018年06月12日

リューベック 壁画の破壊と偽作

Malskat Fresco Stump.jpg
YOUTUBEの
死の舞踏オルガンを1941年にワルター・クラフトが演奏した動画::
Walter Kraft plays the Lubeck Totentanz Orgel, 1941: the Organ of Bach and Buxtehude!  
https://www.youtube.com/watch?v=Q7YokKt0ZdA
の17:50のところに  ロタール・マルスカート Lothar Malskatの写真とその左に彼が偽作した中世風のフレスコがある。

この件は、戦後のドイツの荒廃を象徴するような、文化財破壊事件だった。
この教会がイギリスの空襲で炎上したあと、その火災の影響で後世塗られた壁が剥がれ墜ちて、中世の壁画が露出発見された。その本物の壁画は写真にとられたり模写されたりしたらしいが、まだその写真をみつけていない。

リューベックは西ドイツになり復興が図られたのだが、、
戦後:1948年7月::その壁画の修理担当になったのが、
ディートリッヒ・ファイとこのロタール・マルスカートであった。
彼らはあろうことか、もとの壁画を破壊し掻き落として、新たに壁を塗って新しい壁画を描いたのである。

1951年に一部の専門家がファイの作業に疑問を呈したが、一般の専門家や素人は、発見された「模範的な修復」に魅了された。

西ドイツの州美術管理長官会議は、ファイを支持し最終的には8万5千マルクもの大金を支出した。
州の美術管理長官ヒルシュフェルト曰く「全ドイツで最も重要で、最も大きな発見、いやヨーロッパでも最も大規模な、原形のまま残された13.14世紀の壁画の一つ」
リューベックの博物館長グレープケ曰く「ここでわれわれに再び贈られたものは、煉瓦造りのゴシックの内陣が本当はどういうものかについて、これまでわれわれのもっていた一切の概念を凌駕する。」
あげ句の果てに、、1951年8月には、西ドイツの記念切手にもなった(イメージ)。

これらの賛辞が降り注いだ1年後に、ロタール・マルスカートが、あれは自分が、本にのっている中世の絵の挿絵をもとにして偽作したと告白したとき、だれも本気にとらなかった。新聞は「気の狂った芸術家」と嘲笑した。この状況はフェルメールを偽作したファン・メーヘレンの場合とも似ている。
その後、いろいろあって、結局 ファイとマルスカートは裁判にかけられ有罪になることになった。
壁画は、当初はそのままだったようだが、結局破壊撤去されたようだ(Wikipadia)。
この「修理」という名の破壊は、全く惜しいことだった。

REF.
贋作者 商人 専門家, ゼップ・シュラー 関楠生訳 河出書房新社, 1961,
1998年に小学館文庫で再刊::
フェイクビジネス―贋作者・商人・専門家 (小学館文庫) 文庫 1998/4/1
http://www.amazon.co.jp/dp/4094024115
posted by 山科玲児 at 09:52| Comment(0) | 2018年日記
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