2018年06月14日

天寿国



奈良国立博物館
糸のみほとけ  平成30年7月14日(土)〜8月26日(日)
https://www.narahaku.go.jp/exhibition/2018toku/ito/ito_index.html

天寿国繍帳が中宮寺その他にある断片も含めて、まとめて展示されるようです。ただ前後期に分けてしまったのは少し残念ですね。その場で直接に比較できないので。。それに、正倉院から出た断片は展示されないようです。
東博にある断片の写真(私が撮りました、ちょっとピンボケ)をイメージ左にあげてみます。

また、、天寿国繍帳の断片  東博サイトのイメージ
http://webarchives.tnm.jp/imgsearch/show/E0039508
http://webarchives.tnm.jp/imgsearch/show/C0084964

この「天寿國」が阿弥陀浄土であるというのは、有力な説のようですが、、
NHKの特番にあわせたNHK出版の本(REF2)(大橋、谷口 2002)と 2006年で東京国立博物館 で行った特別展示のとき出した薄い図録(Ref3)で、東博の研究者 松浦氏は、三井記念美術館蔵の『華厳経』巻第四十六の隋の開皇3年(583年)の奥書の中の「西方天寿国」(イメージ右)を根拠の一つとしております。これを最初に指摘したのは常盤大定です。しかし、この文字は、「无(無の略体)寿國」と読むべきではないかという異論も昭和13年から提起されており、またこの写経自体が20世紀初期の偽作であるという見解もあるので、根拠にはできないと思っています。
  三井記念美術館にあるこの華厳経第46が偽作であるという見解は、三井文庫別館蔵品目録 敦煌写経ー北三井家ー(ref5) 平成16年1月、p67に書いてあります。 当の三井から出た本でそうなっているのです。普通 所有機関がこんなこと書かないよな。。普通は所有者所有機関が真作説で他が偽作説を言うのに、それが正反対です。どうなってんの、これ。これでますますNHKを信用しなくなりました。偽作疑惑があるものはあげないほうがいいと思うなあ。。

実は。当時、東京国立博物館の松浦氏に手紙で質問したんですが、頑なに真作説を主張する返答でした。

 当方は、三井文庫で実際にこの敦煌経?をみたことがありますが、紙質が他のものとかなり違っていました。

関連する私が書いた記事:::
天寿国繍帳と敦煌写本
http://reijibook.exblog.jp/15777703/

ref1 飯田瑞穂, 天寿国繍帳銘をめぐって, 古美術 11号, 1965年 11月,pp 39-49, 三彩社, 東京
ref2 大橋一章、谷口雅一『隠された聖徳太子の世界 復元・幻の天寿国』、日本放送出版協会、2002
ref3 東京国立博物館編集・発行『国宝天寿国繍帳』、2006(解説執筆は松浦正昭、澤田むつ代)
ref4 『週刊朝日百科』「日本の国宝4 法起寺 中宮寺 当麻寺 当麻寺奥院」、朝日新聞社、1997
ref5 三井文庫, 三井文庫別館蔵品目録 敦煌写経ー北三井家ー, 2004年1月, 三井文庫, 東京


posted by 山科玲児 at 08:31| Comment(0) | 2018年日記
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