2018年06月22日

大高麗展と「一時差し押さえ免除」法


 これは、レコードチャイナの記事
韓国に貸したら返ってこない?世界各国が韓国への「文化財レンタル」を拒否=韓国ネットが反発

を中心にして情報収集したものである。もとは東亜日報の韓国語記事らしいが、もとになる記事にアクセスしようとするとマルウェアやウイルスが襲うようなので、あぶなくてコピー+機械翻訳すらできない。日本語なり英語なりに翻訳された記事から読み解くしかない。しかし、これは海外に文物・美術品を貸し出す場合、また借りてきて展示する場合、重要な問題を多く含んでいることなので、あえて論じることにする。

ソウル国立中央博物館で、高麗建国1100年ということで大高麗展を12月に開催する予定だという。
そのため、高麗の文物を海外から借りようとしたとき「一時差し押さえ免除」法律を要求されてもめているようである。最初はフランスから「直指心体要節」を借りる交渉をしたときに、もめ、結局法律がないと貸し出さないということになっている。

>世界で金属活字で刷られた最も古い本で、フランスに保管されている『直指心体要節』(1377年刊行)
>1886年にフランスの外交官として韓国に赴任したコラン・ド・プランシ(Collin de Plancy)が購入して自国に持って行ったもの

を借りる交渉が頓挫したということである。しかし、この「保管されている」というのは、翻訳の誤りでなければ、悪意を感じる文章である。普通は「所蔵されている」であろう。「保管されている」というのは、「日本なり韓国なり米国なりの個人/団体の所有であるが、今はフランスの図書館に一時的に預けられている」という意味である。こういうことを、Biblioteque Nationaleに言ったら、そりゃ物別れになるだろうなあ。。

 まあ、ここでつまずいていたら、一歩も進まないので、次にいく。

 また、台北國立故宮博物院から高麗とほぼ同時代の宋の文物を借りようとして、この法律がないというので断られたようである。 しかし、これは当たり前で、台北國立故宮博物院はいつもそうだ。例外はない。
  実は、日本がこの法律と同等な「海外の美術品等の我が国における公開の促進に関する法律(海外美術品等公開促進法)」を作ったのも。台北國立故宮博物院の日本での大規模な展覧会をやるためだった。
をやるために法律を作ったのである。長年、この立法に尽力していたのは古屋圭司衆議院議員である。
 台北國立故宮博物院の場合、中華人民共和国や中華人民共和国/中国共産党の意をうけた団体が「日本の裁判所」に「差し押さえ命令」依頼の裁判をおこしかねないという危惧があったからである。したがって、台北の海外展は、「一時差し押さえ免除」法律があるところに限っていた。ドイツ展のときも、事前にドイツ議会が法律を作ってから初めて実施できたのだ。
 韓国でも、さっさと法律をつくればいいのに、議員立法しようとしたら、議員や市民団体が反対してできなかったらしい。
  これでは、借りてきておいて「差し押さえする」下心があると思われてもしょうがないだろう。

  日本にも「高麗仏画」のレンタル依頼が来ているようだが、最近、盗難文化財を返却しないでいいという韓国の裁判所の判決がでたため状況が最悪になった。所蔵者にとっては「貸したらもどってこない」可能性が大きくなったわけである。最低でも「一時差し押さえ免除」法律を韓国でつくらなければ、無理だろう。
 しかし、ここでも、翻訳の誤りかもしれないが、

>日本にある高麗仏画を韓国に運び込むことを提案した。

なんて文章がある。「運び込むことを提案した」とは、全くひどい言い方だろう。普通は、「貸し出しを依頼した」だろうに、もし本当にこういう言い方をしたとしたら、いくら文化庁の役人でも顔をゆがめただろう。そして慇懃無礼な対応をしただろうと思う。


posted by 山科玲児 at 08:32| Comment(0) | 日記
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