で、扉 表面のグリザイユの上部のアーチ形について疑義を表しておいた。
ただ、本来アーチ型の絵でそれに材木を継いで長方形にしたという例も他にある。
プラドにある小振りの「聖アントニウスの誘惑」でこれは「19世紀に」やったということになっており、現在の展示では19世紀?の補筆分を多い隠すように弓形の木の板がつけてある。昔は長方形の絵だとばかり思っていて2005年にみたときも長方形でみたのだが、10年後今回のボス展で観たときには、部分的にみえなくなっていた。
それにしても、昔観た補筆のできは非常によく、区別がつかなかった。これは JAN VAN DER VEKENのような名人がやったのだろうか??
プラド 修理 動画 2分40秒ぐらいのところから、赤外線でみた写真が公開されています。
https://youtu.be/JJQbHaD9J5s
それにしても、部分拡大すると、これは素晴らしい作品ですね。BRCPがボッスの真蹟からはずしたのは納得がいきません。
https://youtu.be/JJQbHaD9J5s
それにしても、部分拡大すると、これは素晴らしい作品ですね。BRCPがボッスの真蹟からはずしたのは納得がいきません。
では、アーチ→ 長方形のように拡大加工するのが常だというわけではないようだ。たとえば、コルマール ウンターリンデン美術館にある マルチン ショーンガウアーの薔薇の聖母は逆で 長方形からアーチに切り縮めてある。
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Martin_Schongauer_Madonna_in_Rose_Garden.jpg
との比較で、推測されている(REf)
今回のボス展でみたものでは、ひょっとしたらヴェネチアにある聖女の祭壇画(イメージ)がアーチ形に切り詰めたものかもしれない。
Triptych of St. Uncumber
http://boschproject.org/bosch_in_venice.html
一つの理由は中央画面がどうもバランスが悪く周囲に余裕がないようにみえることである。もう一つの理由は、両翼にもとあった寄進者の男性像だが、この両翼の板に描く位置としておかしすぎる、上に寄りすぎているということである。これは純粋な想像だにすぎないが、寄進者像を塗りつぶして販売用にしたてなおすときに中央画面、両翼ともかなり周囲がきりとられたのではにだろうか??
この販売用というのは16世紀前半ではボスの絵画はそうとう高価で売買されていた。特にスペインの王侯貴族などに需要があったので、販売しやすいように描き直しが色々なところで行われたのではないか??と推定したくなる状況証拠はいろいろあるからである。
この販売用というのは16世紀前半ではボスの絵画はそうとう高価で売買されていた。特にスペインの王侯貴族などに需要があったので、販売しやすいように描き直しが色々なところで行われたのではないか??と推定したくなる状況証拠はいろいろあるからである。
Ref 田辺幹之助、ショーンガウアーの絵画と版画、マルチン・ショーンガウアーと15世紀銅版画展、1997に収録