2018年07月21日

鳩の有無

Jan_de_Beer_-_Annunciation.jpg

受胎告知の絵で精霊の鳩を省略したものがイタリアに多い。
例えば、フラ・アンジェリコのサンマルコのフレスコでは、鳩がいない。
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Angelico_Anunciaci%C3%B3n_01.JPG

聖母の左上に、なんか丸い白いものがあるようにみえるが、これは、拡大してみても鳩にはみえず、また修理前のより精緻な図版をみれば白いものはない、単なる壁のキズのようなものだ(Ref1)
どうも、修理のとき、ここになにかあるんじゃないかと洗ったのかもしれない。あるいは画家が描こうとして中止したのかもしれない。サンマルコにあるもう一つの小型の受胎告知には、まったく鳩はない。


もっとも、プラド美術館にある豪華なフラ・アンジェリコ作には鳩が描かれてますから、同じ画家でも 違いがあるようだ。
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Fra_Angelico_-_The_Annunciation_-_WGA0454.jpg

また、イタリアでもフラ フィリッポ リッピの受胎告知(少なくとも3点以上)には、皆、鳩をいれている。リッピの場合、ロヒール・ファンデアワイデンに似た構図もあるので、北からの影響を考えるべきかもしれません。

一方、フランドルでは  ファンアイクのゲント祭壇画の外側の受胎告知に始まって、たいてい鳩がいるようです。
イメージには、マドリードのティセン ポルミネッサ美術館で観た
ヤン・デ・ビーアの例を出してみた。巻紙の間の紡錘形の光の真ん中に鳩がいます。

Ref 1  Ugo Procacci, IL BEATO ANGELICO, Editore: Ente Provinciale per il Turismo, [s.d.], Firenze 1950 - 1960


posted by 山科玲児 at 09:42| Comment(0) | 2018年日記
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