2018年09月02日

ヒエロニムス・ボッスのフィッシャー本

Bosch Fisher.jpg

15世紀末の画家ヒエロニムス・ボッス(1450?〜1516)の大きな洋書画集があったので図書館から借りてきました。
手広く画集出版しているタッセンTASCHENの出版です。
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タッセンTASCHENの出版であるせいか、大判の拡大図版が多数あって、非常に素晴らしいものです。
版によって出版年が違うようですが、
著者の紹介からすると2013年が最初のようです。
Over mij - Stefan Fischer
http://expert.jeroenboschplaza.com/stefan-fischer/?lang=en

ただ、Stefan Fischer博士の解説は、かなりボリュームがあるものですから、まず末尾のカタログレゾネを読んでみました。正直言ってかなりおかしいカタログレゾネでしたので、どうだかなあ。。
まあ、2016年でのBRCPやプラドの大規模なカタログ出版や研究書出版の前ですから、しょうがないんですが、2016年のプラドのカタログと対照すると、そうとうな部分を書き直したくなります。

また、カタログレゾネにしては、関係するコピーや流派作、関連資料の紹介・批評が少ないのが気になります。1967年のMia Cinotti (Rizzoli  Flamarion)の場合  エントリーが78もあり、様々な関連作品も紹介してありますが、このフィッシャー本は、真作20+流派作・工房作9で29しかありません。

また、快楽の園のコピーが二十以上あるような記述がありますが、聞いたこともありません。。

不思議なのは、amazon.comのレビューでも、内容に批判的なレビューがないことです。
2016年以後では、この本の図版は十分価値があるが、文献のほうは、どうなんだろう?と疑問に思っています。

小池 寿子、 謎解き ヒエロニムス・ボス (とんぼの本) 単行本  – 2015/4/28
は、どうも、この本を種本にしたのではないか?と感じています。
プラドの三賢王礼拝 で、「寄進者はアントワープの収税吏」となっているのも、この本の粗忽な記述をそのまま継承していますしね。
また、118p  ブラッセル王立美術館の  「17 キリストの処刑」の解説で、「寄進者像は一時、マグダラのマリアに描き変えられていたが、1966年の修理で元の姿に」
というのも、この本に書いてあります。これについては、
に1949年以前の写真をおいて疑問を呈しておきました。


posted by 山科玲児 at 16:57| Comment(0) | 2018年日記
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