2018年09月09日

外交官のコレクションって、どうなんでしょうねえ??


香港の美術雑誌 Orientations 最新号 volume  49  No.5    2018
の広告に、ちょっと変わったものがありましたので、コメントしてみたいと思います。
関西美術競売株式会社のオークションの「広告」です。ここは日本にある中国美術を集めて主に中国の富裕層などを見込み客としてオークションしているところのようですね。香港や台湾でも下見会をやってますから。

その広告に、須磨弥吉郎 旧蔵 コレクションのオークションが大きく宣伝されておりました。
須磨弥吉郎(1892年 - 1970年)というのはスペインと中国に駐在した外交官で、スペインで集めた絵画のコレクションの一部は長崎県美術館にかなり入っていて、中国で集めた中国近代絵画のうち、971点は京都国立博物館に入っています。Wikipedia須磨弥吉郎 によると

>中国在勤中での中国美術蒐集は、スペイン美術を遥かに超えて1万点以上とも言われる。そのうち中国近代絵画971点は、1999年と2000年の2回にわたる遺族からの寄贈や購入により京都国立博物館に収まっている。

  ちょっと数多すぎるんじゃないかと思うんですよね。とても1点づつ吟味して購入したものとは思えません。、
   この広告みたとき、最初気になったのは、題簽の文字が下手なことです。全部同じ人が書いているみたいですが、下手ウマで個性があるというのでもなく本当に下手なんですね。

これは、このオークションの抜粋カタログPDF
で観ることができます。
 ほぼ同時代の画家や一世代、2世代前ぐらいの画家の作品が多いので、古画と違って本物を買うことができる機会が多かったとは思いますが、大丈夫なのかなあ?と疑念をもちたくなります。
  長崎県美術館のスペイン絵画も玉石混交というか手当たり次第というか、あまり鑑識眼を感じないものでしたので、中国近代絵画でどこまでまともに収集していたのかわかりません。まぐれ当たりはスペイン絵画でもありましたから、数打ちゃ当たるという大人買いなのかな??

  一応、京都国立博物館では、寄贈+購入した作品については、まずまず評価したようで、特別展も開催しました。
 京都国立博物館やその他へ行かなかった分の作品がこのオークションに出たものだと思いますが、質の点、どうなんでしょうねえ。。

 ところで、同時に開催されるオークションで、それは須磨コレクションとは無関係なんですが、
「南宋官窯」の 米色青磁瓶が図版になってました。なんかすごいなと思って、少し写真ベースですが調べたのですが、他の南宋官窯瓶の例や南宋青磁瓶(四川出土)例と比べて形が違うのでどうなのかなあ、、、これについては良くわかりません。。
  絵画の他のカタログの中でも、ひょっとしたら 面白いものがあるかもしれません、川崎男爵旧蔵の(伝)南宋画とかあるしね。
  色々な抜粋カタログ
 http://www.kansaiaa.com/main_exhibition_work/index.html

日本での下見会も大阪で10月にあるようです。


posted by 山科玲児 at 11:15| Comment(4) | 2018年日記
この記事へのコメント
>「南宋官窯」の 米色青磁瓶
カタログをみると「官式龍泉窯」と曖昧な書き方をしてますね。
他にも修内司j形瓶とかすごいものが出てますね。どこから出てきたものなんでしょう。日本国内なのかなあ。
エスティメートは載ってないようですが、どれくらいいくんでしょうね。
Posted by 名無し at 2018年09月10日 18:41
>名無しさん
>他にも修内司j形瓶とかすごいものが出てますね。どこから出てきたものなんでしょう。日本国内なのかなあ。

この会社のビジネスモデルからいうと、日本国内だとおもいます。
 どっちかというと、郊壇下に近い気もしますが、釉薬の流れ落ち痕もあるので、実物観てないし、重さもわからないから、なんともいえませんねえ。明白にダメってものは写真でもわかるんですが、そうでないものは、たとえガラス越しでも実物みないと無理ですね。


Posted by 山科玲児 at 2018年09月11日 05:34
しかし、米色青磁もj形瓶も、本歌であれば大変な名品ですが、こんなものがこれまで一般に知られずにいて、急に二つも無名のオークションに出てくるものでしょうかね。いや、官窯j形瓶なんて憧れですから、本歌であれば是非欲しいですけどね。
まあ、最近の汝窯発見の例もありますから、ありえないとはいえませんが。
Posted by 名無し at 2018年09月11日 19:32

>名無しさん
>
>しかし、米色青磁もj形瓶も、本歌であれば大変な名品ですが、こんなものがこれまで一般に知られずにいて、急に二つも無名のオークションに出てくるものでしょうかね。

  まあ、疑って当然ですね。形に不審なところもありますしね。むしろ闘技場、試験場でしょう。書画のカタログでも、救いようのないどうしようもないものもあれば、ひょっとしたら、と思えるものもあります。「全滅」と無視できないように一見みえるところが、なんかひっかかったところです。巧妙で大きな罠かもしれませんがね。

Posted by 山科玲児 at 2018年09月12日 06:04
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