坂本さんというか、不言堂さんの仕事で喧伝されているのが、なぜか2つとも、元の大壺であることは、なんか不思議ですね。
一つは、前回触れた、1971年(昭和46年)クリスティーズで、坂本五郎氏が同様な青花釉裏紅大壺 Blue and White and Copper-Red Jar,を落札し、話題にしたこと
もう一つは、1974年に東京美術倶楽部の業者間交換会で、突然出たという元 青花魚藻文壺です(イメージ 当方撮影)。ずっと個人蔵で秘蔵されており、処分を依頼された茶道具商が東京美術倶楽部の業者間交換会に出し、坂本五郎氏の不言堂がX千万で競り落としたということが、雑誌「目の眼」にでてました。その翌年、安宅英一氏が、安宅産業として倍近い金額で購入(ref2)、現在大阪市立東洋陶磁美術館にあります。
この青花魚藻文壺のことは、繭山康彦氏も書いてました(ref1)。この繭山康彦氏の記述によると、世界にある他の青花魚藻文壺もまた、数奇な運命で偶然「掘り出された」もののようです。
英国の外交官ガーナー卿が、ニューヨークの百貨店の店飾りに20年も使っていたという青花魚藻文壺を数百ドルで買った話、この青花魚藻文壺は今は東京富士美術館にあります。
東京富士美術館サイト
http://www.fujibi.or.jp/our-collection/profile-of-works.html?work_id=1524
東京富士美術館サイト
http://www.fujibi.or.jp/our-collection/profile-of-works.html?work_id=1524
また、ブルックリン美術館にある青花魚藻文壺は、コレクターが埃だらけにして机の下に押し込んでいたものを遺産整理に入った美術館員がみつけたという話(ref1) 1968年クリーブランド美術館での展覧には出てますからそれ以前の話でしょう(ref3)
ブルックリン美術館サイト
https://www.brooklynmuseum.org/opencollection/objects/66256
ブルックリン美術館サイト
https://www.brooklynmuseum.org/opencollection/objects/66256
ただ、この青花魚藻文壺がなんでこんなに高く売買されるのかイマイチわからないんですけどね。
1970年代の流行ということもあるとは思います。元時代の陶磁器の再認識ということです。
ref1 繭山康彦、骨董勉強ノオト、 新潮社、昭和54
ref2 大阪市立東洋陶磁美術館編、美の求道者 安宅英一の眼 安宅コレクション、読売新聞大阪本社、2007、1
ref3 Sherman E. Lee, Wai-kam Ho, Cleveland Museum of Art, Chinese art under the Mongols: the Yüan dynasty, 1279-1368, Cleveland Museum of Art; [distributed by the Press of Case Western Reserve University, 1968