遼寧省博物館の楊仁ト氏は、清明上河図巻の再発見を筆頭に鑑定家 美術館人として多くの業績がある。氏の遺著というか最後の著作が
楊仁ト談書法鑑定、上海書画、である。
私は
台北の汗牛書店
で、ついでのように買ったのだが、ときどき読み返してみると、なかなか面白い。もっとも楊氏の意見すべてに賛成など到底できないが、現場にいた人間でなければ、わからない話が多い。
最近、読み返していて、こんなことあるだろうかと、思ったのが
1971年、北京故宮博物院で開催された「プロレタリア文化大革命期間出土文物展覧」で展示された
ミーラン遺跡で出土した、唐時代の写本2件である。一つは元和15年に書写した白居易「売炭翁」、一つは元和10年に書写した唐詩3首である。
当時、かなり評判を呼び、色々研究論文などが書かれたらしい。しかし、「文学評論」1991年3期に楊レン氏が考証して、新疆ウイグル博物館員の偽作であることがあきらかになった という。
しかし、1971年、まだ文化大革命が終結していない時代に、「出土文物」の偽作があった、というのは、なんとも不思議な感じがする。 どういう背景や意図によるものだろうか??
敦煌 西域 文書に、金めあての偽作が相当量あるということは、藤枝晃氏などの研究でそうとう明らかになっているが、1970年ごろに偽作する動機ってなんなんだろうね。。