2018年09月24日

夢二と中国近代絵画


 2000年ごろだったか、ある長年中国通いやって商売していた方に、
「豊 子ト(ほう しがい、1898-1975)が、竹久夢二(1884-1934)の影響を強く受けた」という話をしたら、
「へえ、竹久夢二が影響を受けたなんて素晴らしい画家だったんだな。
と言ったので、
「違いますよ、逆です。豊 子トがマネしたんです。」
と言ったら、黙ってしまった。

どうもね、中国−>日本 という影響の流れしか頭になくて、その逆が考えられなくなっている。
この種の固定観念・先入観がある人って、意外に多いのかな、と思ったものである。

上のイメージをみるように、左は豊氏が上海の雑誌「宇宙風 1936/6/16 」に出したマンガ(ref1)、右が夢二が出版したマンガ イラスト集 春夏秋冬(1910) 都会の巻(1911)からの抜粋(Ref2)である。豊氏は日本留学したとき愛好したらしく、自分でも夢二の作品に学んだと書き残しているので、確かなことだろう。

 このような日本の近代絵画(菱田春草とか横山大観とか)ーー>中国の画家による模倣・パクリというのは、意外に多いものらしい。

 これについては
  古原宏伸  盗作の論理  国画改良運動始末、1989
 が多数の例をあげて論じていた。

Ref1 宇宙風 1936/6/16  原刊本  もうかなり酸化して脆くなっている
Ref2 三彩、増刊「竹久夢二」、242号、昭和44年3月、三彩社


posted by 山科玲児 at 10:33| Comment(0) | 2018年日記
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