書道博物館でも協賛していて特別展やってます。
出品リストは、
王羲之書法の残影 台東区立書道博物館
こちらで見物なのは、
2番の、エイ鶴銘の整本でしょう。掛け軸になっていて、文字のある部分の拓本をはりこんだような形になっています。これは清末の大官コレクターだった端方旧蔵のものだと想います。実見しましたが、なかなか精拓。エイ鶴銘は水っぽい真っ黒なひどい拓本が多い。 エルスワースのもの(右イメージ)がそうだし、大阪市立の師古齋コレクションのものもそう。なかには輪郭だけ拓したもの(上海図書館)もあるが、それもいまいちいただけない。また、黄山谷の題跋にも出てくるように、古くから尊重されてきたものなので、新しい拓本を細工して古くみせかけたものがあるらしい。その細工ぶりについては、香港書譜出版社が解説していた(ref1)。そういう感心できないものが多いなかでは出色のものですよ。たしか京都の藤井有リン館 にやはり大きな整本があるらしいが、観たことはない。册になっているものでは、羅振玉旧蔵本が一番良いらしいが、今はたぶん行方不明である。左イメージは書譜の付録の清初 顔光敏旧蔵の整拓本(ref1)。書道博物館のものは、実見しましたが写真図版は得ることはできませんでしたので、かわりに出しました。
2番の、エイ鶴銘の整本でしょう。掛け軸になっていて、文字のある部分の拓本をはりこんだような形になっています。これは清末の大官コレクターだった端方旧蔵のものだと想います。実見しましたが、なかなか精拓。エイ鶴銘は水っぽい真っ黒なひどい拓本が多い。 エルスワースのもの(右イメージ)がそうだし、大阪市立の師古齋コレクションのものもそう。なかには輪郭だけ拓したもの(上海図書館)もあるが、それもいまいちいただけない。また、黄山谷の題跋にも出てくるように、古くから尊重されてきたものなので、新しい拓本を細工して古くみせかけたものがあるらしい。その細工ぶりについては、香港書譜出版社が解説していた(ref1)。そういう感心できないものが多いなかでは出色のものですよ。たしか京都の藤井有リン館 にやはり大きな整本があるらしいが、観たことはない。册になっているものでは、羅振玉旧蔵本が一番良いらしいが、今はたぶん行方不明である。左イメージは書譜の付録の清初 顔光敏旧蔵の整拓本(ref1)。書道博物館のものは、実見しましたが写真図版は得ることはできませんでしたので、かわりに出しました。
6番の黄庭経の巻物は五島美術館旧宇野コレクションからのレンタル品で、むしろ特別展に出したほうがよかったかも、とおもわせるゆゆしい感じのものです。ただ文字の姿には好き好きがあるかもしれない。私はどちらかというと、戦前は大西コレクションだった 博文堂出版のもの(水痕本)のほうが好き。
後期(二月五日〜)だが、29番で鄭文公 碑を展示します。 書道博物館には何種類かあるだろうから、どれをだすのかはわからないが、当方の希望をいうと、中村不折が神田で五円で掘り出したという旧拓がみたい。日下部鳴鶴がみて、「こんなよいものをみたことがない」といい、同席した比田井天来が1万円はするだろう、と絶賛したものである。なんでも某氏が6円で買ったのだがつまらないと言って本屋に返し中村不折が買ったものだという(ref2)。実見したことがあるが、古い古い感じのする墨の濃い旧拓なのに、なかなかな精拓で文字の線を大事にしてつくってある。こういう旧拓でこういう感じのものはほんとうに少ないとおもう。
ref1 書譜 1979年第3期(総 第28期)書譜出版社、香港
ref2 孔固亭蔵下碑旧拓本佚話、書道 第五巻第5号、P43,昭和11年5月1日発行
ref2 孔固亭蔵下碑旧拓本佚話、書道 第五巻第5号、P43,昭和11年5月1日発行