アスコリ ピッチェーノの絵画館はがらんとした感じの18世紀風のホールが2、3あるところなんですが、さすがに、クリヴェッリ派の作品もあります。
動画があります
Pinacoteca Civica di Ascoli Piceno: Secondo Trittico di Valle Castellana
https://youtu.be/V5qOrkT_Usc
ただ、イメージのようにものすごく傷んでいて、観るのが苦しいくらいですが、照明や展示環境は普通です。あまりお客さんがいないので、日本人なんかが入ると係官がずっとくっついて来たりしてうざいということもあります。
ここにある2つのトリプティックは中小型のもので、おおきなものではありません。また枠から取り外した板になっているので、もともとはもっと大きなものの1部だったのかもしれません。しかし、Lightbownの本によると、すぐ近くの大聖堂にある聖エメディオ祭壇画のような大きなものではなく、もともともっと小さなものみたいです。
イタリアWikipediaに解説があるようです。
https://it.wikipedia.org/wiki/Primo_trittico_di_Valle_Castellana
https://it.wikipedia.org/wiki/Secondo_trittico_di_Valle_Castellana
https://it.wikipedia.org/wiki/Secondo_trittico_di_Valle_Castellana
絵の傷み方は恐ろしいくらいで、絵の具が剥落しているというよりも下地ごと木材からはぎ取られたかのようになくなっていて、基底材の木材が荒々しく露わになっています。
どうも、BOVERO A.リッツオーリの本によると、どうも1970〜1972年のウルビーノの工房(Oberto夫妻)での修理の際に、補彩をとってしまったみたいでした。
2016年05月10日 修理の功罪
http://reijiyamashina.sblo.jp/article/175237512.html
で書いた傳ボッスの「大洪水」パネル(ロッテルダム、ボイマンス美術館)もそうなっていて、観て痛ましい感じがしたものです。一時流行った修復手法みたいですが、あまりこういうのはやり過ぎじゃないかなあ、と思ってます。
聖母の尊顔が半ばなくなっているのはみるに忍びないのですが、残った部分はかなり傑作なのではないか、とおもわせます。両脇のパネルがかなりえぐい感じなので、どうも描き手が違う合作だったのではないかとも感じました。
実は作者についても、ピエトロ・アラマーノとか、いろいろ説があったようです。
BOVERO A., L'OPERA COMPLETA DEL CRIVELLI. Editore: Rizzoli Milano 1974
Ronald Lightbown, Carlo Crivelli、Yale University Press (2004/9/10)