2019年03月01日
傷んだクリヴェリ画
傷んだクリヴェリ画
で紹介した小型のトリプティック(右イメージ)ですが、
そこでも書いたように、どうもこれは1970年ごろの修理の問題のようです。
BOVERO A., L'OPERA COMPLETA DEL CRIVELLI. Editore: Rizzoli Milano 1974
に古い写真(左イメージ)がのってましたんで、紹介します。比べてみてください。
つまり、もともとかなり損傷していた画面に、古い時代に補筆補彩を施してあまりおかしくないようにしていたようですね。教会内では、崇敬の念をおこさせることが重要ですから、派手に傷ついたものはまずいでしょう。
1970年ごろの、修理のとき、科学的観点というか、本来クリヴェッリが描いた部分だけを残し、それ以外は偽物・夾雑物という観点から、とってしまったんじゃないかと思います。確かにそういう考え方がある時代には優勢になったことがあったと記憶しています。ノイエ・ザッハリカイトだったかなあ??
しかし、これは、どうなのかなあ、現在なら、地味な色の、容易に除去できる水彩での補彩をやるのではないかと思います。下地までなくなっていると、隣接する本体の彩色層が崩れてしまいそうな感じもありますし、よくないのではないかと思いますし、なにより痛まし過ぎると思います。