2019年04月20日

タイトルに偽りあり

ヒトラーVS.ピカソ 奪われた名画のゆくえ
HITLER VERSUS PICASSO AND THE OTHERS
製作国:イタリア・フランス・ドイツ
製作年:2018
公式サイト
http://hitlervspicasso-movie.com/

という映画が日本でも公開されているようです。題名が馬鹿馬鹿しいものなので、てっきり日本の配給会社が適当につけたのかと思ったら、英語原題もそうだった。

  ピカソは第二次大戦中、ナチス占領下のパリで、レストラン:レ・カタランをひいきにしていて、毎日シャトーブリアンの豪華なステーキを食べて、のうのうと生活していたんですけどね。そのとりまきにジャン・コクトーもいた。しかも、単にグルメに隠棲していたわけでもなく、ナチス施政下のパリで、画商ヴォラールから数十点のアクアチント版画を収録した豪華画集まで出しております

この件は、

ピカソのパトロン  2018年12月01日
http://reijiyamashina.sblo.jp/article/185106511.html

にも書きました。枢軸よりの中立国スペイン国籍のピカソとはいえ、パリ解放後共産党に入ったような人物にゲシュタボが手を出さなかったのは不可解です。このナチス・ドイツ占領下パリでのピカソというのは、ピカソの生涯の黒歴史、闇の部分であり、ピカソの伝記作者としても触れたくない部分だとおもいます。一説には、ヒトラーの御用彫刻家:アルノ・ブレーカー(1900〜1991)が保護したという噂もあるようです。
REF.   ピエール カバンヌ , 続 ピカソの世紀: ゲルニカと戦争、そして栄光と孤独 1937-1973 、2016:: ピエール カバンヌ (著),    Pierre Cabanne (原著),    中村 隆夫 (翻訳)

また、グルリット・コレクションが、この映画でも取り上げられているようですが、

2016年10月29日
ナチス略奪美術品 報道の誇張
http://reijiyamashina.sblo.jp/article/177462183.html

で、書いたように、たいしたことのないもので、単なる画商の在庫品です。美術史的に重要な物はないようにみえます。
 この一件だけでも、無知な観衆を騙そうとする、どうしようもないプロパガンタ映画らしいことが覗われます。

> なお、本作の字幕監修は、ベストセラー『怖い絵』シリーズ著者として知られる作家・ドイツ文学者の中野京子が担当。
 中野京子さんも、名声もあるし、一応定職あるんだから、こういう危ないことに手を出さないほうがいいのにね。


posted by 山科玲児 at 04:11| Comment(0) | 日記
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