2019年05月12日

タルティーニの大曲

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 ヴァイオリニスト・作曲家:ジュゼッペ・タルティーニ(1692-1770)は、「悪魔のトリル」で名を売ったので、肖像画(イメージ)の魁偉な容貌もあずかって、なんか変な人だという印象がある。実は才能にあふれた結構普通の人だったようだ。テレマンのように、有名なパドウア大学で法学を学んだ人です。晩年は、住み慣れたパドウアでヴァイオリン学校を経営して天寿を全うした。彼の弟子ナルディーニはドイツのヴァイオリニストの教育に大きな影響を与えているし、孫弟子のヴィオッティはフランスのヴァイオリン音楽に決定的影響を与えた。なんのことはない18世紀後期以降のヴァイオリン音楽の源流はタルティーニだといっても良いのだ。

  タルティーニの曲のなかでも名前だけ有名で、全曲がほとんど演奏されていないものに、
  「コレッリの主題による変奏曲」  がある。コレッリの作品5ヴァイオリンソナタ集の10番ヘ長調の第4楽章ガボット・アレグロをもとにしている。ガッティの演奏ならたった36秒で終わりの曲である。

  ところがタルティーニのこれは、50曲も変奏があって、全部演奏すれば一時間ぐらいになってしまう大曲なのが、あまり演奏されない原因だろう。
  柴田南雄先生によれば、 「惜しいことにほとんどクライスラーによる抜粋編曲で知られており、原曲の面影からは遠い」そうである。
  Youtubeにギリシャのヴァイオリニストによる珍しい全曲演奏があったので、紹介したい。

Giuseppe Tartini - L' arte dell' arco - complete 
50 Variations for violin on a gavotte by A. Corelli.
Recorded by Nikos Th. Karajanis  in the spring of 2005.
   https://www.youtube.com/watch?v=tFQSWsImEJQ
   
  なかなか晴朗な曲でBGMに使っている人もいるそうである。

posted by 山科玲児 at 14:16| Comment(0) | 日記
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