2019年06月29日

公平な台北國立故宮博物院

異趣帖 藤井.JPG

今年、早春  台北故宮博物院の常設展示 (2019年1月〜3月25日)もう終わった展覧の話で恐縮だが、

筆墨は語る─中国歴代法書選 
で、(伝)梁武帝「異趣帖」(藝珍堂本)が
展示されていたそうだ。これは、國立故宮博物院の所蔵ではなく寄託されている美術品である。

ちょっと感動したのは、このサイトの「展示作品解説」が、極めて公平で学術的なことだ。

よく見ると、薄墨と濃墨を使って2度書きしてあり、草法にも誤りがある上、続け字の線も不自然である。18-19世紀の間に、京都市の藤井斉成会有鄰館が所蔵する「異趣帖」を参考に複製されたものではないかとの指摘もある。今後の研究が待たれる。
 昔は、もともとついている題簽や伝承筆者を無批判に受容して、寄託していただいたコレクターに媚びたような文章や、國立故宮博物院の所蔵品の価値をさげないように無闇に褒めまくるような解説が少なくなかったが、時代は変わったものだ。現代では台北國立故宮博物院の研究員が、世界で一番科学的批判的に中国書画をみているかもしれない。

ひょっとしたら、当方が2005年に公開した論説:

2つの梁武帝:異趣帖


を参考にされているのではないか?と思う。
  なぜなら、大観展のときのカタログでも、当方の宋代装飾料紙に関する解説を参考REFとして、掲載していただいたからである。その後、URLを変えざるをえなくなってしまったのは無念だが、参照していただいたのは、
Ornamental paper in Sung Dynasty on "Pine Wind Pavillion Poem"
である。

(伝)梁武帝「異趣帖」(藝珍堂本)の鮮明で大きなカラー写真のデジタルイメージが出たのはこれが初めてだと思う。写真自体はずいぶん昔に出版された
藝珍堂書畫,二玄社, 1979
で出ていた。
  それのモノクロコピーをもとにして、詳細比較し、2005年に、該当論説を公開したのだが、ようやく業界の一般常識になってきたようだ。

イメージは、京都、藤井有リン館 所蔵の別本、たぶん有リン館本のほうがより良いものだと思う。





posted by 山科玲児 at 08:00| Comment(0) | 日記
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