2019年06月30日

ギュスターヴ・モローのカタログレゾネ

Moreau flammarion.JPG


今度は大阪あべのハルカスで開催されるギュスターヴ・モロー展ですが、福岡でもやるそうなので、そちらで観る予定です。
ギュスターヴ・モロー展
https://www.nhk-p.co.jp/event/detail.php?id=1461
2019年4月6日(土)〜6月23日(日)パナソニック汐留美術館 終了
2019年7月13日(土)〜9月23日(月・祝)あべのハルカス美術館 開始まであと13日
2019年10月1日(火)〜11月24日(日)福岡市美術館 開始まであと93日

このギュスターヴ・モローのカタログレゾネとして、最も手軽なのが、イメージのフラマリオン社出版のものです。

Les Classiques d'Art (Flammarion series): Tout L'Oeuvre Peint de Gustave Moreau.
Mathieu, Pierre-Louis, 1991(1998にも再版)、Flammarion、Paris

これは、れっきとしたギュスターヴ・モローの専門家の労作なので、手軽だからといっても、そういいかげんなものではありません。

 ただ、このフラマリオン社のTout L'Oeuvre Peint de のシリーズには色々な誤解・問題があります。もともとミラノのRizzoli社からでていたシリーズの翻訳から出発したシリーズなんですが、実はこのギュスターヴ・モロー集はイタリア語版はありません。パリのフラマリオンで独自に作ったものなんです。そうはいっても、本の構成や編集のしかたは、他のものとそっくりなんで、奥付をよくみないとわからないぐらいです。

  同様に、フランス語版だけがあるものとしては、
TOUT L'OEUVRE PEINT DES LE NAIN.
PIERRE ROSENBERG
Published by FLAMMARION, COLL. LES CLASSIQUES DE L'ART (1993)
があるようです。
  このミラノのRizzoli社からでていたシリーズから翻訳  派生したものには、米国ニューヨークのアブラムス社から出たもの、日本の集英社発売、リッツォーリ版世界美術全集 / 座右宝刊行会編(1973-1975) というのがありますが、相互に多少出入りがあります。必ずしも全てリッツオーリから出たものだとは言いがたいようです。また、もともとカタログ・レゾネ執筆者がフランス人や英国人だった場合、わざわざイタリア語からフランス語や英語に翻訳をしたのかどうか?実際には元原稿もらったんじゃないのか? とかいう疑惑もあります。
 日本版は23画家24冊という抜粋版になっています。 翻訳の無断省略があったり、古めかしい日本の「評論家」の解説があったりするので、翻訳の苦労は察しますが、当方としてはあまり尊重しておりません。

posted by 山科玲児 at 08:01| Comment(2) | 日記
この記事へのコメント
Rozzoliのシリーズは非常に良く出来ていて、私もよく手にしていました。外の国ではこのようになっているとは知りませんでした。勉強になりました。
イタリアでは他にもArtedossierという月刊誌があるのですが、それに付いてくるモノグラフ(こちらがメインなのかもしれませんが)が薄いのですが非常に良く出来ていて、大学の教授など専門家も勧めています。(http://www.artedossier.it/it/
「モロー展」の感想をうかがうのを楽しみにしています。(私はちょっとがっかりだったので)
Posted by fontana at 2019年06月30日 13:54
>fontana 様
コメントありがとうございました。
Artedossier はフィレンチェのたぶんウフィッチの売店で、DELLA ROBBIAのモノグラフ(1999)を買いました。たしかによくできていますね。おまけに薄いので、収納にも便利です。フィレンチェのGIUNTI社が刊行もとのようです。
Posted by 山科玲児 at 2019年07月01日 05:01
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