1880年のサロンに出品されたギュスターヴ・モローのこの作品は、1913年Jules Beerのコレクション競売以後行方不明である。イメージは古いモノクロ写真。写真そのものは、下記カタログレゾネの著者Mathieu, Pierre-Louisの所蔵。
ギュスターヴ・モローのカタログレゾネ
Mathieu, Pierre-Louis, Tout L'Oeuvre Peint de Gustave Moreau.Flammarion.1991
Mathieu, Pierre-Louis, Tout L'Oeuvre Peint de Gustave Moreau.Flammarion.1991
にそう書いてあった。
幻想の彼方へ、澁澤龍彦、 美術出版社、1975年初版にのってたモノクロ図版も古い画集図版からの再録らしい。
幻想の彼方へ、澁澤龍彦、 美術出版社、1975年初版にのってたモノクロ図版も古い画集図版からの再録らしい。
ところが、
panasonic 汐留 ギュスターヴ・モロー展
https://www.artagenda.jp/exhibition/detail/3153
のサイトでは、よく似た油彩習作が今回展示されるものとして、しかもパリ、ギュスターヴ・モロー美術館所蔵作品として紹介されている。
panasonic 汐留 ギュスターヴ・モロー展
https://www.artagenda.jp/exhibition/detail/3153
のサイトでは、よく似た油彩習作が今回展示されるものとして、しかもパリ、ギュスターヴ・モロー美術館所蔵作品として紹介されている。
oil on canvas 63x30cm Gustave Moreau Museum
これは前記 ギュスターヴ・モロー カタログレゾネには載っていない。
しかも、同じギュスターヴ・モロー美術館が2012年に開催した「ヘレネ」小企画展解説には、この絵のことは何もコメントしていない。
Gustave Moreau, Helen of Troy : Majestic Beauty
Musee Gustave Moreau, from 21 March to 25 June 2012.
http://www.thearttribune.com/Gustave-Moreau-Helen-of-Troy.html
Gustave Moreau, Helen of Troy : Majestic Beauty
Musee Gustave Moreau, from 21 March to 25 June 2012.
http://www.thearttribune.com/Gustave-Moreau-Helen-of-Troy.html
これはいったいどういうことだろうか??
話の整合性を考えると、2012年以後に発見されて、ギュスターヴ・モロー美術館に収蔵された、と解釈せざるをえない。あるいはギュスターヴ・モロー美術館の倉庫からの発見ということもありうる。
そういう意味では新発見ともいえるだろう。
またピエール=ルイ・マチューのカタログ・レゾネはこちらを用いているようです。Gustave Moreau:Monographie et nouveau catalogue de l'oeuvre acheve, Paris, ACR,1998
(フランス語のアクセント記号が反映されず全てeになっております)
コメントありがとうございました。
Gustave Moreau:Monographie et nouveau catalogue de l'oeuvre acheve, Paris, ACR,1998
がどうも決定版のようですね。5万円以上する大きな本のようです。
フラマリオン版は、やや簡略したもののようにみえます。まあ、モローの全貌が鳥瞰できるわけですからよいものだと思ってますが、「ある/ない」というような微妙な問題には使えないようですね。
まあ、そこまでモローには深入りする気がないんで、フラマリオンでいいかな、と思っております。フラマリオンで面白かったのは、お住まいの横浜に、松尾博 氏というコレクターがいて、所蔵品がフラマリオン本に14点も記載されています。松尾さんは、1990年ごろにはご健勝だったようです。
>松尾博 様
コメント、ありがとうございました。今は台風10号に耐えてるところでして気の利いたコメントもできないのが残念です。著名なモロー・コレクターの方なら、コロナ禍終息の後でも、ネットなり展覧会なりでも、なんらかの形で公開していただければと感じております。