プラド美術館のロヒール・ファン・デル・ウェイデン『十字架降下』には正確なほぼ同じ大きさの模写が3つある。2点は同じプラドにあり、1点はベルリン美術館にある。
Orginal
https://www.museodelprado.es/coleccion/obra-de-arte/el-descendimiento/856d822a-dd22-4425-bebd-920a1d416aa7
Prado Copy Michel Coxcie?
El Descendimiento - Coleccion - Museo Nacional del Prado
https://www.museodelprado.es/coleccion/obra-de-arte/el-descendimiento/683e1628-ba9c-4a1d-b906-6edb26347256
Prado Copy Anonym
El Descendimiento de la Cruz - Coleccion - Museo Nacional del Prado
https://www.museodelprado.es/coleccion/obra-de-arte/el-descendimiento-de-la-cruz/68b8f1f5-50b6-439d-bcb0-ca9188276d3c
Berlin Copy
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:The_Descent_from_the_Cross,_by_Michiel_Coxcie,_a_copy_after_Rogier_van_der_Weyden,_1540-1548,_oak_-_Bode-Museum_-_DSC03179.JPG
これらの模写は意外としられていない。また、あまり重要視もされていないようだ。もちろん専門書にはちゃんと記載はされているが、かなりひどいあつかいである。ミラフローレス祭壇画のように、従来模写とされてきたものが実は真跡で真跡とされてきたものが模写ということもあるので、模写をあまりにも軽くあつかうのもいかがなものかと思う。
プラド美術館のサイトでは、2点の模写は、なんとスペイン語サイトにしかなく、英語サイトには掲載されていない。英語で検索しても検索は難しい。ベルリンの模写の図版はwikimediaにあるだけである。
まあ、正確な模写なら、全体の小さなカラー図版じゃ原作と区別つかないし、同じ写真の図版並べてなにやってるんだ??というようなアホな印象しか与えないだろう。部分拡大図版で比較というのなら、まだ意味があるだろう。
この3点を比較してわかることは、3点ともたぶんルーヴァンから持ち出された後で制作された模写だということだ。全体の凸型の形が全く同じであり、おそらく周囲にあった飾りや両翼もすべて取り外した現在の状態と同じだからだ。
ハプスブルク家のハンガリーのマリアが、ルーヴァンの教会?から購入したとき、代替に模写を納めたというが、その模写は現存の3点のなかにはないのではないかと考えている学者は多いようである。とにかく、こういう精緻な模写がルーヴァンの教会にあり、ファン・マンデルは、こういうのをみて批評していたのだろう。
縮小模写・模倣作で、オリジナルがルーヴァンにあったときの原形を推定できるものが、ルーヴァンにあるエーデルヘーレ祭壇画(1443)である。
エーデルヘーレ祭壇画の外翼グリザイユについて
Ref. Rogier Van Der Weyden: The Complete Works First Edition Edition by Dirk De Vos 、Harry N Abrams; First Edition edition (April 2000)