2019年09月27日

贋作騒ぎ フォッグのレンブラント

Rembrandt_-_Head_of_Christfogg_Museum.jpg

フォッグ美術館の話が某所ででたので、関係する余話を。。。

1964年にスライブ教授がロスアンジェルス の小さな美術商で発見した レンブラント  キリストの顔  であるが、

2004年ごろ  偽物説がでて、騒ぎになったようだ。
BOSTON GLOBE 溌のニュース

 
Stephen Jordanという人が友人だった故人のハリウッドの俳優で画家だったデッカーという人が贋作したものだという主張をした。その主張には、Wilhelm Valentiner氏が鑑定しているが、彼がほんものとしたレンブラントの半分は違っていたという議論もあった。しかしながら、レンブラント・プロジェクト以前の鑑定の多くが覆されているわけだから、こういう議論は意味がない。
 そのあと、基底材の木材を年輪年代法で検査したところ、レンブラント絵画として妥当な年代だった。勿論、古い17世紀の価値の低い板絵の表面を削り落として偽物を制作するという方法もあるから、これだけで本物とはいえないが、傍証ではある。その後、結果も踏まえてか、2011年に「キリストの顔」特別展が企画されルーブル・フィラデルフィア・デトロイトなどを巡回した。他作品との比較で更に信頼性が上がったのだろうと思う。
Rembrandt and the Face of Jesus, Musee du Louvre, Paris Cedex 01, 04/21/2011 - 07/18/2011; Philadelphia Museum of Art, Philadelphia, 08/03/2011 - 10/30/2011; Detroit Institute of Arts, Detroit, 11/20/2011 - 02/12/2012

  フォッグ側は、「デッカー氏が描いたのは別の作品なんだろう」というというスタンスである。どうも名声に終着する男性の常として、悪名でもほしいという心や、あの賢人ぶった教授たちの鼻をあかしてやりたいというルサンチマンが、ある種の人々にはこういう思いこみ贋作ュースを吹聴する動機になるのだろう。そういえば、ジョルジュ・ド・ラトウールの「女占い師」( メトロポリタン) について、修復家DIONの贋作という話が騒ぎになったことがあったが、それもそういう動機によるものだろうか。
 この騒ぎが起こったのは、高齢のスライブ教授がご存命だったころなので、騒がせたんだろうが、たぶん年輪年代法で一段落ついて、当時なら様々な科学的手法によって20世紀の俳優の作品ではないぐらいすぐわかったと思う。スライブ教授は安心して晩年を送られたと思っている。
https://hnanews.org/memoriam-seymour-slive/

 もともとサインもなく確たる伝世の書類もない絵画なので、レンブラントには推定されているだけである、ただ、このフォッグのサイトの画家推定欄は、おもしろい記述になっている。
最初は
レンブラントの追随者の作品

レンブラントの作品

と信頼性が上がっているのである。
 科学調査の結果、むしろ信頼性が上がったということだろうか。これは、この作品にとって良いことだと思っている。レンブラントに属する同類の作品は数点あり、皆同じモデルを使ったもののようである。ただ、ものによっては工房の弟子に描かせたものもあるだろう。この「キリストの顔」は小型の板に油彩で描かれているのだが、キャンバス画が多いレンブラントとしては少数派だ。実は同様の絵が1964年ごろは、これも含めて7点指摘されていた。それら全てがほぼ同じ大きさの板に描かれていた。現在は9点あげられているようだ。1964年のリストから単純に増えたのではなく出入りもあり、ちょっと怪しいものもある。ベルリン、フィラデルフィア、デトロイト、フォッグ、ブレジウス、は不動のようだ。
https://en.wikipedia.org/wiki/Head_of_Christ_(Rembrandt)

REF  藝術新潮  1967年11月号

posted by 山科玲児 at 09:35| Comment(0) | 日記
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