2019年10月01日

泰山刻石29字本


 拓調をみると、結構精緻に採っているもので、この石が火事にあった、乾5年近くに制作されたものではないかと思う。
なにせ乾5年に火事にあって、現在は、9字半ぐらいの小さな塊になってしまっているので、このいわゆる「29字本」も大変貴重なものとされている。
  中国美術全集(ref1)には、当時 上海書店所蔵の整紙本と北京故宮博物院所蔵の李文田旧蔵剪装本の29字本が紹介されていた。右イメージに書跡名品叢刊に収録されている所在不明の別本をあげておく(三省堂書エン 図説書道史ref3からの転載かもしれない)。これには、有名な学者  厳可均の一行の題が左端に入っているようである。
 いうまでもなく、日本には  百六十五字本(台東区書道博物館) 53字本(三井文庫  左イメージ)の2つがある。
 しかし、この2册は、民国時代に突然出現したものなので、偽物だという誹謗が絶えなかった。二十九字本ですら本物ではないという説があった(ref3 図説書道史)ぐらいだから、近年でも53字本しか認めんという人までいたぐらいである。当方は部分的ながら全部何度も鑑賞した結果として、2点とも本物、同時代採拓、53字本は册の約半分以上を失ったもの、という見解である。

 結局、現代の9字半本の残石と百六十五字本(台東区書道博物館) 53字本(三井)を繋ぐものとして、また、碑の形を少しは想像させるものとして、この29字本、特に整紙本は尊重されてきたわけである。
ちなみに、台東区書道博物館には、二十九字本整本も1軸あって(ref2)、これはとても有り難い。

Ref1.  中国美術全集編集委員会   中国美術全集   書法篆刻編1      商周秦漢書法 ,1987
Ref2. 「拓本とその流転」 2011年 展覧会図録
Ref3. 藤原楚水、図説書道史、三省堂書エン 第二巻一号に掲載分


posted by 山科玲児 at 09:05| Comment(0) | 日記
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