2019年12月04日

三国志呉志第十二残巻

三国志呉志 上野.jpg



太宰府の九州国立博物館に行った、最大の目的は、

重文 三国志呉志第十二残巻(部分) 個人蔵 ( 11月12日〜12月22日で限定展示)
https://twitter.com/kyuhaku_koho/status/1192263768677453825

を観ることだった。
今回は、全部広げてあって、十分に観賞できた。京都国立博物館の筆墨精神 展(2011)
(朝日新聞社のサイトにはまだ記録が残っていた):: 
http://www.asahi.com/ueno-collection/exhibition/
で鑑賞したときは、80行全部ひろげられていなかったと記憶している。
このサイトで観る限り、2011年の時点では、朝日新聞社主:上野家 の所蔵ですね。

書道博物館の断片が同し巻子の切れ端で、この80行の前に位置するもののようである。


三国志〈呉志第十二残巻/〉 さんごくし
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/156961


良質の緻密な白紙に墨罫線を引いて 濃墨で書写している。イメージでは黄色い紙にみえるが、これは色校正の問題である。黒々とした墨で、油煙墨じゃないかと思うくらいである。西域で書かれた写本には、まま木筆・ペンで書いたものもあるそうだが、これは筆じゃないかと思う。典籍であることもあり、中央からもちこまれたものではないかと想像している。
また、紙を貼り付けて訂正して書いてあるところがあるが、そこの書風はかなり劣るので別人の訂正ではないかと思う。モノクロ写真・図版で黒々と四角形になっているところは塗りつぶしではなくこれである。

羅振玉刊行の漢晋書影 の増補本にモノクロコロタイプ影印本があり、ひょっとして、これは全部ではなく部分影印ではないかと思っていたが、全部でOKのようである。漢晋書影のイメージは、
https://reijibook.exblog.jp/13989764/

書風としては、あの大字の泰山金剛経を小さくしたようなものもみえるし、昔は「晋時代の書写」といわれたものだが、現在では、南北朝時代 五世紀 とされているようである。一方、鐘元常の「薦季直表」とそっくりな字もあり、どういう風にみたらいいのか? まだよくわからない。

ただ、当方としてはとても好きな書風で、これや同類の「老女人経(書道博物館)」に影響を受けた字で題簽なんかを書いたりしている。

posted by 山科玲児 at 07:06| Comment(0) | 日記
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