2020年01月10日

コウ先生の業績

マヤ文字解読.JPG


古代文字の解読ストーリーというのは、その言語や文字にあまりなじみがなくても、なぜか人の心を魅了する。シャンポリオンの話を知っている人のうちどれだけの人がヒエログリフが読めるだろう?? マヤ語やアッカド語など何もしらなくても、古代文字解読の話には、なにか心をうきたたせるものがある。 文字のもつ魅力なんだろうか?

コウ先生の「マヤ文字解読(イメージ)」は、そういう意味で歴史小説のような読み方ができる好著である。

再読したことは、前、書いたが
2019年12月08日 マヤ文字解読  再読
http://reijiyamashina.sblo.jp/article/186893838.html

コウ先生の業績としては、オルメカのサン・ロレンソの発掘とともに、グロリア絵文書を米国で紹介したこと、マヤの土器の上にある文字を評価したこと、がある。とくに後2件は、1973年のニューヨーク Grolierクラブでの展覧会「マヤの書記とその世界」The Maya Scribe and His World で一緒に行われたものである。このときのカタログは1000部限定だったが、結構現在では高価な稀覯本になっているようである。

 ところで従来「グロリア」とずううといわれてきたがGrolierなら「グロリエ」が正しいように思う。もともと16世紀フランスの愛書家で、蔵書に華麗な装丁をさせたので有名なJean Grolier de Servieres, viscount d'Aguisy (1489-90 – 22 October 1565) に由来する名前である。Glorierはヴェネチアのアルドスの出版のパトロンでもあった。この件は例のAndrew LangのThe Library(1881)で読んだ。細かいことは、Wkipediaも参照している。そうはいってもいまさら日本語名称は変えないだろうが。。たぶん米語ではグロリアなんだろう??

  この土器の上の文字については、例によってエリック・トンプソンが軽視したためもあり、コウ先生がとりあげるまで、ほとんどだれも真面目に研究しなかった。
 また考古学的に発掘されたものより、盗堀で骨董品として売買され主に米国のコレクターに収蔵されたものが多かったため、「贋作が多い」「盗堀を助長する」ということで考古学者からは毛嫌いされていたらしい。
 そういう資料を丁寧に集めて研究したのがコウ先生である。
 文字が多い土器で考古学的に発掘されたものとして、ティカルの中心部、埋葬196で  1967年以前にヘルムートNicholas-Hellmuthが発掘したものがあるのだから、1973年よりずっと前から真正なものがあることはわかっていたはずである

Polychrome vessel, Tikal Burial 196. Miscellaneous Text 176. Rollout
https://www.researchgate.net/figure/Polychrome-vessel-Tikal-Burial-196-Miscellaneous-Text-176-Rollout-photograph-by-Justin_fig4_320373781

鑑別をちゃんとしたら、資料に使えると思うのだが、毛嫌いされていた。、
コウ先生が発見した容器の上部に書いてある決まり文句PSSプライマリー・スタンダード・シークエンス だが、どうも古典マヤ時代でも古語だったのか、現在でも完全には解読できていないようである。「拝啓」「前略」とか{Incipit}とかE.G.とか QEDとかそういうような定型的な言葉だったのだろうか??

posted by 山科玲児 at 04:05| Comment(0) | 日記
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