2020年01月17日

土器の文字とフランス語のデザイン

maya vessel.jpg

マイケル・D. コウ Michael D. Coe,
監修増田 義郎,  翻訳 武井 摩利, 徳江 佐和子
「マヤ文字解読」
http://www.amazon.co.jp/dp/442220226X/

312p、第9章
>1962年のエリック・トンプソンのカタログでは、土器の文字は研究に値しないとして、ほとんど採用されなかった。
トンプソンはそれを、文盲の職人が器を魅力的にみせるためだけに適当な文字を書き付けただけの単なる装飾であり、「美的感覚を満足させるバランスのよい配置を求める芸術家の願望」を反映しているにすぎないと結論づけていた。結果としてそれは、当時のマヤ学者の大多数の見解にもなっていた。


実はこの土器の文字は王族クラスのエリートの書記が書いている重要な資料でした。現在では大規模な集成も出版されているようです。最初に注目したコウ先生の展覧会カタログがネットで読めることは既に書きました。

イメージはWikimediaから、信頼がおけそうなものを選びました。贋作も多いそうなので。
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Sacul_vase.jpg
 ペテン地方のSacul出土, グアテマラのドロレスのMuseo Regional del Sureste de Petén 所蔵、ナランホ王のものという銘文があるそうです。

  しかしながら、このトンプソンの見解にも、日本人としては、なんとなく触発されるところがあります。それは、包装紙やカバン、Tシャツなどに書いてある外国語とくにフランス語のデタラメぶりに、何度も何度も遭遇しているから。
  マヤ語やアラビア文字、タイの文字などなら、まあ学ぶ機会も少ないでしょうが、一応英語のアルファベットと大体重なっているし、大学の科目にもあるフランス語が文法無視で書いてあるのは、いただけない。別にあの特殊文字を使ってないという問題ではありません。それは無理なこともあるから代用すればいいしね。
 もともと「格好をつける」「高級そうにみせる」ためのフランス語表示が物笑いの種になっているのは情けないことです。


posted by 山科玲児 at 09:03| Comment(0) | 日記
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