2020年04月28日

メルボルンの聖母子


2020年03月31日に
インスホールの聖母子
というコメントを書いたが、もと、ヤン・ファンアイク作とされてきたこの小さな聖母子像
について、

メルボルンでの詳細な研究をざっと読んでみた。。
The National Gallery of Victoria’s Virgin and Child, by a follower of Jan van Eyck: a continuing reassessment | NGV
https://www.ngv.vic.gov.au/essay/the-national-gallery-of-victorias-virgin-and-child-by-a-follower-of-jan-van-eyck-a-continuing-reassessment-2/

特に、面白いと思ったのは、聖母子の背後の錦の織物・壁掛けが ファンアイクのものと似ず、メムリンクが使っているものとそっくりだ、という指摘である。確かにこれはそうだ。

メムリンクの真作間違いない、ブリュージュのヨハネ・マリア祭壇画(1479)の聖母子背後の壁掛けと酷似しており、この壁掛けはロンドン:ナショナルギャラリーのダン祭壇画(1480?) ルーブルの「聖ヤコブと聖ドメニコのいる聖母子」にも流用されている。

  そうなると、メムリンクのアトリエにいたことがある、メムリンクとは別人の画家の作品であり、当方が昔考えていたペトルス・クリストスとは違い、ペトルスより一世代後の画家ということになる。ヤン・ファンアイクの孫弟子ぐらいの世代ではなかろうか。

  もう一つ面白いのは左側の窓の雨戸というか防護用のシャッターがガラス窓の外側壁の外側につけてある、という指摘である。ベルギーの場合、ほとんど内側につけてある。例えば、メムリンク作マルチン・ニーウェンホーヘ像(ブリュージュ)の背景の窓:ファンアイクのアルノルフィーニ夫妻像(ロンドン)の左側の窓、、外側にシャッターをつけるのは、どうもドイツよりの地方の習慣らしい。フェルメールの窓は外側に雨戸のようにみえる。そうなると、この画家はメムリンクと同様ドイツから来た画家なのかもしれない。

  いずれにせよ、偽物ではない。1480年前後の作品だろう。

posted by 山科玲児 at 06:27| Comment(0) | 日記
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