2020年05月04日

黄絹蘭亭



最近、蘭亭序の領字従山本についてウダウダ調べているのには理由がある。
 顔真郷展で、台北故宮の名品がきたとき、蘭千山館の黄絹蘭亭が展示された、
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Yellow-silk_Version_of_the_Orchid_Pavilion_Preface_-_Chu_Suiliang.jpg

こういうときに、この作品が名品たる所以を説明しないといけないのだが、
「山があるのはおかしいだろ」
  とかいう言葉に対して論理的な説明をどうやってするというのだろうか?
 もちろん、定武本も遊相本もこの黄絹蘭亭も、皆、とるに足りないものとして排除するんなら、それでもよいが、それらについてなんらかの位置づけをしようとすると調査せざるをえないことになる。

  その一方、北京の王連起氏のように、この黄絹蘭亭をにせものとして指弾するような論を張るという立場もあるだろう。しかし実物をみると結構よいもののように感じるし、どちらにせよ、蘭亭には本物はなく、すべて模写 臨書なのだから、偽物というのも変な中傷にしかきこえない。
 むしろ系統を明らかにしてどうゆう価値があるかを考えたほうがいい。昔昔、1950年、河出版書道全集で、谷村憙齋 (たにむら・きさい)氏が この黄絹本をすべての領字従山本の先祖においたことがあったが、それはどうもよい仮説ではなかったようだ。また湖南省博物館の絹本蘭亭と混同した文章さえみかけたことがあり情けないことである。

 翁方綱が、蘇米斎蘭亭考に、快雪堂本の原本絹本をみたと書いているが、まさか黄絹蘭亭と勘違いしているのでは。。。翁跋を再読しなければならない。。


posted by 山科玲児 at 17:37| Comment(0) | 日記
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