2020年10月03日

フィッシュ・アンド・チップス




フィッシュ・アンド・チップスの歴史
という本が最近出版されていて、びっくりした(左イメージ)。人類の味覚への冒涜とまではいわないが、こんなものを研究する人がいるんだな。最初にロンドンを訪ねたとき、当然のごとく義務感に促されてフィッシュ・アンド・チップスを食べてゲンナリ失望した記憶を未だにもっているのだから、相当 失望の印象が強かったらしい。だいたいまずい店やつまらない料理なんか憶えてなんかいない。皆忘れてしまって、よかった店や素晴らしい料理だけを憶えているものだ。それなのに、、ロンドンの失望の記憶だけは何十年ものトラウマとなってしまっているようだ。
 そこで、
世界一まずいイギリス料理を食べてみた
https://youtu.be/14pQW0EiPpA

を喜んで観たりするようになるのである。

この「フィッシュ・アンド・チップスの歴史」の著者はキプロス系ギリシャ人移民の家庭で、学校にいくまで英語をしゃべっていなかったという人である。英語よりフィッシュ・アンド・チップスのほうに先に親しんだ人だそうだ。
 そのせいか、フィッシュ・アンド・チップスと「移民」の関係を強調しすぎているきらいがある。ただ、フィッシュのほうがユダヤ料理だった(コーシャー?)という視点は新鮮だった。ただ、英国におけるユダヤ人の歴史は16世紀以前に遡るわけだから、移民と結びつけるのは難しい。
 また、英国のインド料理が第二次世界大戦後のインドから引き揚げた英国人の影響?という視点は、日本の焼き餃子に似ていて面白いが、歴史的には問題がある。日本のカレーライスは日本軍が英国軍から学んだものだったらしい。そうなると、英国軍では第二次世界大戦よりずっと前からカレーが普及していたはず。またカレー粉製造で有名な Crosse & Blackwell は19世紀には盛んに製造していた。勿論植民地インドの独立にともなう引き揚げ者によって量的に拡大したのは確かであろう。どうも、フィッシュ・アンド・チップス以外のものの歴史については、かなり杜撰のようである。
 同じ移民でも右イメージの、ハンガリー移民ジョージ・マイクスとはだいぶん視点が違うものだと思った。
  ところで、日本にも、英国の老舗マリンがフィッシュ・アンド・チップスの店を出しているようである。コロナ禍で、どうなるのか人ごとながら生暖かく見守っている。
MALINS



posted by 山科玲児 at 08:54| Comment(0) | 日記
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