2020年10月16日

ヨーロッパの兄弟会





 ヴェネチアのスクオラ・サン・ロッコはティントレットの壁画で有名であるが、これはサン・ロッコ兄弟会の施設である。ヒエロニムス・ボス研究をしてるときに、必ずでてくるのがス・ヘルトーヘンボスの聖母マリア信心会(兄弟会)である。この会関係の古文書がボスに関する古記録の主要部分といってもいい。
 また、ペトルス・クリストスの美しい小品:枯木の聖母(ティッセン・、マドリード  左イメージ)が、ブリュージュを中心とするVIPも参加した「枯木の聖母信心会」関連の絵画であることは、ほぼ間違いないだろう。
枯木の聖母
http://reijiyamashina.sblo.jp/article/174809557.html

  こういう風に、絵画の歴史に、おりおりパトロンとして顔をみせる兄弟会・信心会だが、現在では、どうもイメージがつかみにくい。修道騎士団(騎士修道会)がわかりにくい意味不明なものになってしまったのと同じような事情である。

  そのため、秘密結社とか異端集団とか、トンデモな説が20世紀には示されたことがある。ヒエロニムス・ボスの破天荒な絵画を説明するために、ウィルヘルム・フレンガーは、ス・ヘルトーヘンボスの兄弟会信心会を異端派アダム派の巣窟のように解釈したりしたものである。
 やはり、カトリック教会のヒエラルキアの外にある俗人組織ということで、いろいろな想像を働かせやすいのだろう。
 最近、
ヨーロッパ中近世の兄弟会 (右イメージ)
http://www.utp.or.jp/book/b306727.html
という浩瀚で実証的な本がでて、その実体が明らかにされたのは、よかった。

 中世について BRIEF(信仰)の社会ではなく DISBRIEf(不信)の社会だといった学者がいた。そういう治安の悪い社会では、信用を担保する組織がどうしても必要になる。
相互扶助・慈善・埋葬扶助・祭礼・イベントの実施・共同宴会・などを同じ信仰を絆に実施する俗人の組織として多数の兄弟会が存続したようである。
posted by 山科玲児 at 08:39| Comment(2) | 日記
この記事へのコメント
イメージとしては分かっていたのですが、詳細は分からないので、この本を読んでみようと思います。情報ありがとうございます。
Posted by fontana at 2020年10月16日 14:27
>fontanaさん
>
図書館で最初の部分の総論を読むだけでも、だいたいのとこがわかるトップダウン型の記述になっている本です。細かい字で400Pというのは、かなりきついので一言。
Posted by 山科玲児 at 2020年10月16日 18:25
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