今は閉館してる上野の西洋美術館には1976年、山田 智三郎(やまだ ちさぶろう)館長が主導で購入したヨース・ファン・クレーヴの祭壇画がずっと展覧されていた。
https://collection.nmwa.go.jp/P.1976-0003.html
イメージは当方撮影。
これは、おそらく日本で初期ネーデルランドの三連祭壇画を常設展で観ることができる唯一の作品だと思う。まあ、「初期」というにはちょっと十六世紀になってしまっているが、とにかく本格的な大型三連祭壇画トリプティックで日本でアクセスしやすいものとしては、唯一貴重なものである。状態もわるくないようで、塗り直したところも少ない。
この絵と似た作品がスコットランド・ナショナル・ギャラリーにあることに気がついた。
Joos van Cleve | National Galleries of Scotland
https://www.nationalgalleries.org/art-and-artists/artists/joos-van-cleve
主題は違うし、人物描写は、むしろ西洋美術館のほうが上手い感じもするが、特に背景の樹木描写などそっくりである。
西洋美術館のサイト解説があげているメトロポリタン美術館の同主題の絵はこちらだが、
The Crucifixion with Saints and a Donor https://www.metmuseum.org/art/collection/search/436792
こっちよりスコットランドのほうが印象が似ているように思う。
ヨース・ファン・クレーヴの作品群は、もと「聖母の死の画家」と分類されていたのだが、二十世紀になって画家名が同定された。