聖徳太子1400年ということで、石井公成氏の著作
聖徳太子 実像と伝説の間
https://honto.jp/netstore/pd-book_27630731.html
を、図書館から借りてきて、読んでいるが、優れた学問的な著作である。実は、一番面白かったのは、中世の太子信仰で、荒唐無稽の伝説・神話がつくられたことだ。楠木正成が四天王寺で触れたという聖徳太子未来記という予言書の話は知っていたが、まだまだあった。
「中世には兵書を伝授された兵法の達人として秘術を尽くして戦う太子を描くものまで登場しています。このため、戦国時代になると『日本無双の勝軍神』としてあがめ、戦の神とみなして戦勝祈願する武士もいたほどです。」
というところまであった。まるで、マンガそのものだ。「日出処の天子」を初めとする日本の聖徳太子マンガは、実は中世の太子伝の嫡流で由緒正しいものだったのかーー??。でも、そういや河内の太子ゆかりの寺に「勝軍寺」があって、戦前 飛鳥園の東洋美術に取材記事があったなあ。。また、水戸学・国学では、聖徳太子を仏教にかぶれた悪人とする見方まであったようである。2章以降は、かなり難しい話もでてくるのだが、この「はじめに」「第一章」がとてつもなく面白いので、聖徳太子1400年を機会に再版してほしいものだ。今は絶版品切れのようである。仏教関係の本を出してる春秋社からの出版だった。
この石井公成氏、実は、10年前、敦煌写本と藤枝晃氏つながりで知ったのだが、まともで、しかも弁が立つ人のようである。
2011年10月02日 藤枝晃説のその後
http://reijiyamashina.sblo.jp/article/48283637.html
2011年10月08日 最後の未公開敦煌写本コレクション
http://reijiyamashina.sblo.jp/article/48377374.html
藤枝晃先生のもう一つの勇み足
http://blog.goo.ne.jp/kosei-gooblog/e/b00ce64eda421e2a8de4d1964caaca62