朝日新聞の扇情的な記事:
素粒子物理学の根幹崩れた? 磁気の測定値に未知のずれ
https://news.yahoo.co.jp/articles/d342900db6c968c934a546d6e4701203cdd8bd51
が出ていた。数年ぶりに、こういう件についてコメントしてみたくなった。朝日新聞は古美術や自然科学については意外とまともだ。フェイクニュースで有名なニューヨークタイムズもそういう傾向がある。
この種の研究は日本でもやってたんだが、先こされた感はある。ほんとに競争は厳しいし、同じことを世界中で同時に考え・実験しているのだ。
研究会「ミューオン精密物理の新展開」<br> Workshop "New Developments of Muon Precision Physics" | ミュオン科学研究系 - KEK IMSS MSL
https://www2.kek.jp/imss/msl/2019/10/-workshop-new-developments-of-muon-precision-physics.html
もう少し学問的な英文記事はNATURE
Is the standard model broken? Physicists cheer major muon result
https://www.nature.com/articles/d41586-021-00898-z
ミューオン(ミュー粒子)とは、何か?ということから、いわないといけないだろう。現在発見されている素粒子(それ以上分けられない粒子)は上図のようなものだ。これは、下記Wikiからとって加筆した。右の部分は、左の第一列に右の第1列が関係があるというわけでもないので、ちょっと離したほうがいいと思っただけだ。。左の部分は縦横になんらかの関係があるとされている。
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Standard_Model_of_Elementary_Particles.svg
矢印で示したのがミューオンである。これは重い電子というようなもので、2マイクロ秒ぐらいで崩壊する。したがって、日常では空から降ってくる宇宙線で生成されてもすぐ無くなってしまうから、多量には存在しない。ただ宇宙線は常に降ってくるわけだから、ミューオンも降ってくる。福島第一原発の中を透視したのはこの宇宙から降ってくるミューオンをレントゲン代わりに使ったのである。
しかし、素粒子の世界では2マイクロ秒というのは永遠に近いぐらい長い時間である。
このミューオンは、小さな磁石である。もっとも、電子でもなんでも皆小さな磁石でもあるので、極普通のありきたりの性質だ。
現在の標準的な理論で、その磁石の強さ(磁気モーメント)を計算できる。その値が実験値とずれていたので、これはおかしいということになっているのである。
別に、ちょっとぐらいずれていたっていいじゃないか、と感じるだろうが、 水星の軌道のちょっとのズレが一般相対性理論の重要な証拠になったり、古い古いところでは、天王星の軌道の計算値からのズレが海王星の発見につながったりしているから、このズレというのは、馬鹿にはできない。
このミューオンは、小さな磁石である。もっとも、電子でもなんでも皆小さな磁石でもあるので、極普通のありきたりの性質だ。
現在の標準的な理論で、その磁石の強さ(磁気モーメント)を計算できる。その値が実験値とずれていたので、これはおかしいということになっているのである。
別に、ちょっとぐらいずれていたっていいじゃないか、と感じるだろうが、 水星の軌道のちょっとのズレが一般相対性理論の重要な証拠になったり、古い古いところでは、天王星の軌道の計算値からのズレが海王星の発見につながったりしているから、このズレというのは、馬鹿にはできない。