2021年04月12日

ピーター・バンデカンプ

銀河旅行.JPG

  ハードSF作家で科学者でもあった石原藤夫さんが、昔書いた「銀河旅行I.II」はなかなか面白い本で、いまでももっている。このなかで、恒星間飛行の現実的計画としてレーザー起爆核融合を利用したロケットを紹介している。 これが、1973〜1978年にアラン=ボンドを中心とした科学者たちが研究し提案したダイダロス計画である。その目標がバーナード星だった。当時は一般的な科学の本にも、二つの惑星がある星としてバーナード星が紹介されて絵まで描いてあった。バーナード星に惑星があると主張したのが、

ピーター・バンデカンプ(Peter van de Kamp),故郷オランダの言い方では、ピート・ファンデカンプ(Piet van de Kamp(December 26, 1901 in Kampen[1] – May 18, 1995 in Amsterdam) だった。

ピート・ファンデカンプPeter van de Kamp ,
https://en.wikipedia.org/wiki/Peter_van_de_Kamp

彼の20年にわたる観測による「発見」はその後否定され、おそらく失意のうちにオランダに帰り、アムステルダム近郊で逝去している。彼の晩年には、「太陽系外惑星は存在しない」という理論的主張さえ主流になっていた。そして、彼が逝去して五ヶ月あと、1995年10月6日、フィレンチェの学会で、現在につながる最初の太陽系外惑星の報告があった(ref )。発見者は最近ノーベル賞をとったマイヨールとケロッズである。なんという皮肉なことだろうか。

そして、ピーター・バンデカンプが使っていたアストロメトリーという手法が、より現代化し機械化して、

宇宙望遠鏡「ガイア」で実現されている
観測された星の数は18億以上。宇宙望遠鏡「ガイア」の最新データが公開される | sorae 宇宙へのポータルサイト
https://sorae.info/astronomy/20201208-gaia-mission.html

そして、2018年には、バーナード星の惑星が、こんどこそ本当に発見されている。
ナショナル・ジオグラフィック
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/18/111600497/
これはピーター・バンデカンプの観測が正しかったというわけではないのだが、それでも結果としては、ピーター・バンデカンプの墓へのたむけにはなるだろう。
ref.井田 茂、異形の惑星―系外惑星形成理論から (NHKブックス)  2003/5/1
異形の惑星.JPG
posted by 山科玲児 at 07:40| Comment(0) | 日記
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