2021年12月19日

聖ペテロの否認

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宮下規久朗
『一枚の絵で学ぶ美術史   カラヴァッジョ《聖マタイの召命》』
ちくまプリマー新書
2020年2月刊
第5章1聖ペテロの否認
で、従来サラチェーニの下宿人Pensionante del Saraceniとアトリビュートされ聖ペテロの否認」の「現在はよく似た2点の作品がサラチェーニの真作と考えられております」
と書いてあります。
此の作品、ほぼ同じ作品が、バチカン、ダブリン、フランスのドゥエDouai のシャルトリューズ、そして2018年の5月22日にニューヨーク  サザビーズ  オークションにでた作品(上イメージ)と4点あります。4点のうちのどの2点か明言されてませんが、図版に採用したものがそれだとするとヴァチカンとドゥエのものを指しているようです。

サザビーズのときの英文解説は非常に周到なもので、今はサイトからは消えていますが、PCに保存していた文書を、今読み返してみました。Pensionante del Saraceniの解説では完璧じゃないか?と思わせるものでした。
ロンギはヴァチカン作品を基準作にしたようですが、ヴェントーリは、このササビーズ作品をより高く評価したようですね。サザビーズの作品は1948年まで長くペルーのリマに伝世していたというから、驚きです。
2018年という最近のササビーズ解説にも、この絵をサラチェーニ自身の作品とする意見もあると言及されてますが、それはあくまで1意見なので、なんか決まったように書くのはよくありませんね。

サラチェーニの他の作品とはかなり隔絶していて、カラヴァッジョの作品といっても通るような凄みがあります。また、ジョルジュ・ド・ラトゥールを思わせるところがあります。東京でダブリンの作品を鑑賞したとき、てっきりジョルジュ・ド・ラトゥール作品とばかり思い込んでいて混乱し、会場を出たあとで、再度確かめた、という記憶があるくらいです。
この作品はジョルジュ・ド・ラトゥールとカラヴァッジョをつなぐミッシングリンクのようにみえますね。
サザビーズ解説で引用された文献にジョルジュ・ド・ラトゥール研究者の名前が散見するのもむべなるかな。。





posted by 山科玲児 at 15:55| 日記