2022年02月15日

カルミナ・ブラーナ

carmina burana det.jpg



20世紀後半、カルミナ・ブラーナが結構もてはやされたことがあある。
中世末期13世紀?ともされるボイロン修道院にあった詩歌の写本で当時の学生たちが歌っていた奔放な詩歌で、1960〜70年代の「反体制賛美」の風潮のときに流行したのである。
しかし、実際上演されたのは詩を使ってカール・オルフが1936年に作曲した舞台カンタータ:パーフォーマンス曲だったと思う。
もとの曲を復元しようとする試みもあったが、なんか恣意的なものが多かった。ルネ・クレマンシックとか。。

それもそのはず、
世界で最も美しい12の写本
http://www.seidosha.co.jp/book/index.php?id=3203
であげられている図版(イメージ)をみると、線なしの符丁のようなもので、謡曲のわきについてる上げ下げの符丁みたいなもの(無線ネウマ楽譜)、これからメロディを復元するのは伝統が切れた現在では到底無理のようにおもえる。

 柴田南雄先生によると、他の写本で同じ詩に有線ネウマがついているものから類推して、復元演奏したらしい。現代の英文ウィキペヂアでも同じことが書いてあるので、事態は変わらず、オリジナルの曲を復元しているとは言いがたいものである。

 さらに不思議なのは、
世界で最も美しい12の写本の著者 クリストファー・デ・ハーメル
はこの写本の時代を1220年以後と推定しているが、その時代には、このような「線無しネウマ譜」は時代遅れになっていたはずなのだ。

そりゃ、地方差があって、音楽的後進地域ではこういう1世紀以上前のものを使っていたのかもしれないが、不思議なことである。
タグ:中世音楽
posted by 山科玲児 at 06:15| Comment(0) | 日記
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