2022年03月29日

アレキサンダー・ボウル


 大英博物館のSir Joseph Hotung Gallery of China and South Asia は、玉石混交で俗悪なものが前にでているという、なんかウンダーカンマーみたいな凄い展示である。まあ、女史シン図巻のように痛みやすいものはともかく、できるだけ公開展示しようというスタンスのようである。

昔みたガーナー卿の汝窯盃台、ちょっと紹介・考察文を書いた殷虚出土の大理石彫刻
http://reijiyamashina.sakura.ne.jp/ShangB/bmshangM.html
なども展示はされているようである。
ガーナー卿の汝窯盃台のそばに、アレキサンダーボウルという名前で有名な青磁鉢がある。
https://www.britishmuseum.org/collection/object/A_1920-1211-1
アレキサンダーという人William Cleverley Alexander (1840-1916)の旧蔵で遺族によって1920年に寄贈されている。

これは、大きく割れたものを、修理したものだが 、なかなか優れたもので、昔は北宋官窯とはこういうものではなかったか?といわれたこともある。しかし、現在では台北國立故宮博物院にある類品や、形としては東京国立博物館の横河ボウル(下イメージ 当方撮影)に似ていることもあり、南宋官窯の1つではないか? という意見が強かった。一方、河南省の窯跡発掘で汝窯近似の窯が清涼寺、張公巷など発見されていて、大英博物館の公式サイトでは张公巷発見陶片が類似するので北宋末のものだという見解が書いてある。

大英博物館プロパーの収蔵品にも、優れた珍品があるのに、それが、多量のものの中に埋もれているように見えるのは惜しいことである。
横河ボウルImage1.jpg



posted by 山科玲児 at 04:14| Comment(0) | 日記
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