2022年04月07日

古月軒  続2

琺瑯彩 npm.JPG

Soame Jenys, Later  Chinese Porcelain, 1951,
Faber and Faber

に Appendix Tとして、古月軒 の解説がある。

1934年の北京出版の楊氏の[古月軒瓷考]では、欧米に20点日本に6点、50点は中国、ということになっている、と引用してある。
  台北の国立故宮博物院は、当時は、というより1990年頃まで大規模な公開はしてなかったように思うから、数のみつもりはできなかっただろう。

清宮中琺瑯彩 特別展  図録、1992, 國立故宮博物院、台北(イメージ)
を参照すると100点以上200点以下というところだろうか
この図録にのっていないもの、同じものが2点揃いであるものなどを考慮すると、これくらいである。
東京と福岡太宰府で開催された「神品至宝」展で、3点展覧されていた。墨彩の1対の瓶は景徳鎮生産品だろう。ちょっと違う。

北京 故宮博物院にもあるようだが、おそらく満州のラストエンペラー宮廷からの流出品があるのでは、、

ラストエンペラーの逸話に、あるとき、北京紫金城の倉庫に入って、荷物の封をあけてみたら、一度も開封されていない梱包状態の、乾隆時代の陶磁器の包みがどっさりあった、というのがある。そういう状態では、宦官が横領して転売したものも多いだろう。

ただ、日本、欧米でも、ここまで少ないと実物を観た人自体が少なくなるし、比較研究も難しい。現在、常設展示でこの種のものを観ることができるのは、日本では東京国立博物館の1点)だけ。
これは
・琺瑯彩の磁器
・「雍正年製」などの底裏の銘も染め付けではなくエナメル彩で書いてある。
・詩句がエナメル彩で書いてあり、印章もエナメル彩で描いてある。
  従来、一般にいわれてきたこういう条件を備えているので、代表として教科書的に使うのにはとても便利だ。東京国立博物館の展示品としてふさわしい。
ただ、こういう器の内面に絵がある皿は、帝王の食卓を飾ったものではないのではなかろうか?そういう意味では内面が白のもののほうがランクは上かもしれない。これは台北で琺瑯彩特別展示で多数のものを観て感じたことである。

他に、このカテゴリーに入っているもので日本にあり、所在がわかっているのは、永青文庫の1点(パリスの審判)、京都の藤井有リン館の梅花碗ぐらいだろうか。これで3点のみ、残りの3点はどこにいったのだろうか。
  台北 では、多く観ることができるのが幸いだ。
現在でも203室で多数展覧している。

posted by 山科玲児 at 07:16| Comment(0) | 日記
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