2022年04月10日

右と左


Persian Painting mhnmd.JPGseatlle  mhnmd.jpg


香港の古美術雑誌Orientaions に、
中国南北朝時代後期の後周 史君墓石棺は、ソグド人の墓で、その浮き彫り

16世紀のペルシャ・ミニュアツールを比較するという、かなり大胆な論文があった。
Jin Xu and Taylor Chisato Stewart. Echo of a Distant Past: Sino-Sogdian Elements in Persian Book Illustrations
https://www.orientations.com.hk/past-issues/p/janfeb-2022-1

史君墓 浮き彫りについての画像は、、

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Shanxi_Museum_-_tomb_of_Yu_Hong.JPG
https://sogdians.si.edu/shi-juns-sarcophagus/


ううんどうなのかなあ、1000年近く離れているので、伝承の糸をつなぐことができるのだろうか??かなり難しそうだ。


実はこのペルシャ・ミニュアチュールには、私もちょっと別の意味で注目していた。
それは、論文筆者が参考文献にだしているWelchの著作,ただしペルシャ細密画のアンソロジーである別の本  Persian Paintings(ref1)で、この細密画を観ていたからである、 これは、マホメットが天使に導かれて、メッカからエルサレムまで飛行するという場面だとされる。

大英博物館の細密画(左イメージ)
http://www.bl.uk/manuscripts/FullDisplay.aspx?ref=Or_2265

一方、シアトル美術館にある細密画(右イメージ)
https://art.seattleartmuseum.org/objects/24900/the-miraj-muhammads-night-journey

とでは方向が左と右で逆だ。こういう宗教的図像では、どっちかに決まっているものだと思っていたがそうでもないようである。受胎告知でガブリエルが左、マリアが右というのが普通だがときには逆もあるのと同様なのだろうか? それとも、行きと帰りという意味なんだろうか??このへんは浅学で無知な領分なので、ご教示を請いたいところである。

  ただ、マホメットが顔にヴェールをかけているのは共通でかなりめだつ。偶像として崇拝しないようにこういう配慮をしているのだろうか。。
しかし、まさかソグド関係ででてくるとは、思わなかった。
  ただ、シアトルのサイトの解説では、このようなマホメットの空中飛行の細密画は、本の内容と関係のない護符・縁起物として収録・制作されることが多かったと書いてある。

REF1 Source:: Stuart Cary Werch,  Persian Painting ,Brasiller , NY,1976

posted by 山科玲児 at 12:02| Comment(0) | 日記
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