2022年04月29日

夜のガスパールの翻訳

夜のガスパール 伊吹.jpg



 ルイ(雅号 アロイジウス)・ベルトランの詩集「夜のガスパール」は、残念ながら、岩波文庫の翻訳で知られているらしい。

夜のガスパール〜ルイ・ベルトランの詩にもとづく幻想曲
https://www.asahi-net.or.jp/~qa8f-kik/Ravel/Analyze/07_Gaspard_de_la_Nuit/index.html
というサイトに書いてあるように、岩波文庫の翻訳はセンスがなく、詩集の翻訳としていかがなものかと思うような代物である。なお岩波文庫の翻訳者のかたは、「夜のガスパール」の書誌研究については優れた業績をあげた人のようで、フランスででたベルトラン全集の序文でも賞賛されているという(ref)。しかしこの翻訳はねえ、、とても読む気になれなかった。 
 上記サイトの方があげている名訳のサイトは今はなくリンク切れしてるのだが、
    えあ草紙・青空図書館  夜のガスパール抄
    https://www.satokazzz.com/books/bookinfo/55607.html
で読むことができる。確かに達意の名訳だ。岩波文庫とは天地ほども違う。岩波文庫の編集者はどうかしてると思う。

当方としては、全訳では、伊吹武彦先生の翻訳(イメージ)をおすすめしたい。
伊吹武彦 訳、青木書店、1939年、
平凡社の世界名詩集15巻にも収録されているが、序2+ユーゴーへの献辞+正編52+絞首台であり、省略されている。
 文庫でもとの翻訳を再版してもらえないかなあ。。

 だいたい、フランス詩の翻訳は、古くは上田敏、堀口大学をはじめとして粋な翻訳が多く、その伝統は生田耕作ぐらいまではあったが、現代では絶滅してしまったのだろうか。


 上記解説に使われた1842年初版の緑の表紙は当方がwikimediaにあげたものだが、そのあと色補正した。
 この初版本は20部ぐらいしか売れなかったという。しかし、刷った部数は約200部だというから(ref)、残り180部〜ぐらいはいわゆるゾッキ本、新古本として古本屋に安く売られたんだろうと思う。ボードレールやマラルメはそういうゾッキ本をパリで買ったものらしい。
  当方の蔵書にあるものは、珍しいことにもとの紙表紙が保存されている。フランスの本は、いわゆるフランス装でどんな高級な高価な本でも紙表紙で販売し、買った人が装丁をするという形になっているものが多い。

それで、この紙表紙は、失われ易いのである。下記のBiblioteque Nationale所蔵本にもこの表紙はついていない。そういうこともあるのでwikimediaにアップしておいた。
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Gaspard_de_la_Nuit1842.JPG

内容のほうは、パリのBiblioteque Nationaleのサイトで閲覧できる。
https://gallica.bnf.fr/ark:/12148/btv1b8600227w/f9.image



ref 宮崎茜、日本における『夜のガスパール』受容
https://www.waseda.jp/flas/glas/assets/uploads/2017/03/2017_miyazaki_231-244.pdf



 
 

posted by 山科玲児 at 08:58| Comment(0) | 日記
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