スコットランド国立美術館のものが、巡回展として北九州までくるようである。
https://www.tobikan.jp/exhibition/2022_scotland.html
2022年4月22日(金)〜7月3日(日) 東京都美術館
2022年7月16日(土)〜9月25日(日) 神戸市立博物館
2022年10月4日(火)〜11月20日(日) 北九州市立美術館
スコットランドというと、なんか寒い荒涼とした感じがあるのだが、どうしてどうして、
フェルメールの初期作品、「マルタとアンナの家のキリスト」ももっている。
ヒューホー・ファンデア・グースの大作まである。
今回はさすがに、フェルメールもヒューホーもでないが、ヴェロッキオ(推定)とされる 幼児キリストを礼拝する聖母(「ラスキンの聖母」) が貸し出されているようである。もともと板絵だがキャンバスに移されている。
この作品は、ナショナル・ギャラリーを中心に英国のイタリア絵画収集を解説したアポロ誌(ref)にのっていたので、よく覚えている。これは、ラスキンのために、画商・画家・鑑定家であったチャールズ・フェアファックス・マレー(Charles Fairfax Murray、1849年9月30日 ? 1919年1月25日)が仕入れたという、曰く付きのもので、ラファエル前派にかなり強く関わった作品だと思う。
このチャールズ・フェアファックス・マレーという人がまた忘れられている重要人物で、現在の英国の大手画廊アグニューの重要な協力者であった。欧米の重要なコレクション形成に関わっている。例えばモルガンに多量の素描を売っている。2世代あとのベレンソンを連想させるが、著作はカタログ編集以外はないようである。
他にちょっと珍しいところでは、アダム・エルスハイマー(Adam Elsheimer, 1578年3月18日 - 1610年12月11日)の銅板油彩の宗教画「聖ステパノの石打ち」がある。エルスハイマーの作品は少ないので貴重な機会かもしれない。
クロード・ロランの水彩の架空ローマ風景画というのも面白い。
ヴェラスケスの作品はプラドで見飽きたぐらいだが、日本には全く無いので、そういう意味ではいのかな。
18世紀フランス絵画も多少きている。英国にはウオレス・コレクションなどワトー・ランクレ・パテル・ブーシェ・フラゴナールなどの名作が多いのだが、日本には非常に少ない。上野の西洋美術館ですらこの領域は貧弱で、わずかに、より新しい時代のナティエ、カペの作品でうかがうことができるくらいである。ただ、今回はパテル・ブーシェぐらいか。ワトーは作品自体傷みやすいということもある。
英国絵画は充実してるだろうが、ちょっと珍しいのでは、「失楽園」「聖書」などの版画で有名なジョン・マーチンの油絵があるようだ。
ref. APOLLO誌 1985年8月号
ref. APOLLO誌 1985年8月号